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尿路上皮がん

更新日:2024年4月3日

尿路上皮がんの情報

[尿路上皮がん]

尿路上皮がんは名称のとおり、尿路(腎盂、尿管、膀胱、尿道)の上皮(粘膜)から発生するがんで、多くは血尿や膀胱刺激症状(頻尿や排尿痛など)がきっかけとなって診断されます。
治療方針は転移があるかないかで大きく分かれ、基本的には転移がなければ手術療法を、転移があれば抗がん薬や免疫療法薬などによる薬物療法を行います。

 

[非転移性尿路上皮がん]

膀胱癌

膀胱鏡検査により腫瘍の形態などを確認し、まずは膀胱がんの組織型や異型度(がんのたちの悪さ)、および深達度(がんが及んでいる深さ)を調べるために内視鏡を用いて腫瘍(病状によっては腫瘍の一部)を切除する経尿道的膀胱腫瘍切除術を行います。
得られた組織の深達度により、粘膜、粘膜下層のさらに深い部位にある筋層にはがんが及んでいない筋層非浸潤性膀胱がんと、筋層にがんが及ぶ筋層浸潤性膀胱がんに大別され、治療方針が異なります。

 

腎盂尿管がん

腎盂尿管がんは主に血尿や、腫瘍による尿路の閉塞によって腎臓に尿がたまってはれる水腎症(水腎症側の背中の痛みを生じることがあります)によって診断されます。尿細胞診や画像検査で腎盂尿管がんが疑われた場合は、尿管鏡検査を行い、尿路の観察や生検を行います。
転移がなければ、手術療法が基本であり、局所の進行が疑われる場合などは抗がん薬療法後に手術を行うことがあります。

 

[転移性尿路上皮がん / 根治切除不能な局所進行性尿路上皮がん]

抗がん薬や免疫療法薬などを用いる薬物療法が基本になります。
近年、新たな治療法が次々に開発されており、一次治療として抗がん薬治療、二次治療として免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬治療)、三次治療として抗体薬物複合体治療が行われます。
しかし転移を生じた進行尿路上皮がんはこれらの治療を行っても治癒を得られることは非常に稀です。転移性尿路上皮がんの場合は「がんの進行を遅らせ、生命に関わるまでの期間を少しでも延長させること」と「排尿症状や痛みの症状などの出現を遅らせるまたは軽減させる」ことが治療の目標となります。

治療について

[非転移性尿路上皮がん]

 

膀胱癌

筋層非浸潤性膀胱がんで経尿道膀胱腫瘍切除術でも腫瘍がすべて切除できていない場合や再発のリスクが特に高いと考えられる場合は、抗がん薬やBCG(ウシ型弱毒結核菌)の膀胱内注入療法を行います。しかし、BCG膀胱内注入療法後に再発した場合は膀胱全摘除術が必要になることがあります。
筋層非浸潤性膀胱がんは治療後でも膀胱内再発を生じることが多いため、特に膀胱鏡による定期的な経過観察が必要です。

筋層浸潤性膀胱がんは基本的には膀胱全摘術が必要です。手術後に転移が生じる可能性を低減させるため、術前に抗がん薬の点滴治療を行った後に膀胱全摘除術(基本的には腹腔鏡下膀胱全摘除術を行っていますが、現在ロボット支援下手術導入準備中です)を行います。膀胱摘出後は尿を体外に排出するための尿路変向術が必要になります。尿路変向術には回腸導管造設術と新膀胱造設術があります。回腸導管造設術は小腸(回腸)を尿の体外導出路に用いて下腹部に排出口であるストマを形成する手術であり、古くからある尿路変向術で長期成績も安定しています。ただしストマから常時尿が排出される非尿禁制型尿路変向術ですので、パウチに集尿袋を装着するストマ管理が必要です。新膀胱造設術は小腸を用いて新たに尿をためる膀胱を形成して、尿道からの排尿が可能となる手術です。新膀胱には尿意がなく、排尿の時に新膀胱自体は収縮しませんので、定期的、意識的な排尿などの自己管理が必要です。病状や全身状態によっては新膀胱造設術ができない場合もあります。
膀胱全摘術、尿路変向術は手術後の生活が大きく変化しますので、手術前に患者さんやご家族に十分理解していただいた上で治療を行うようにしています。

 

 

腎盂尿管がん

手術は基本的に内視鏡を用いて腎臓と尿管を摘除し、尿管と膀胱の接合部の膀胱壁を一部合併切除する腹腔鏡下腎尿管全摘膀胱部分切除を行います。リンパ節転移の可能性がある症例に対しては(画像検査でリンパ節転移がはっきりしない場合でも)転移を生じやすい部位のリンパ節を摘除するリンパ節郭清術も積極的に行っています。

 

[転移性尿路上皮がん / 根治切除不能な局所進行性尿路上皮がん]

一次治療としては抗がん薬治療が行われ、GC療法(ゲムシタビン+シスプラチン)もしくはGCarbo療法(ゲムシタビン+カルボプラチン 腎機能低下症例に行われます)が選択されます。一次抗がん薬治療を4-6コース行い効果が認められた症例に対しては維持療法として免疫チェックポイント阻害薬(バベンチオ®)投与を行います。その後増悪した場合には、二次治療としてキイトルーダ®という免疫チェックポイント阻害薬を用いた免疫治療を行います。今まではその後に増悪した場合の有効な三次治療があまりありませんでしたが、2021年11月より抗体薬物複合体療法(パドセブ®)という治療が保険診療でできるようになりました。尿路上皮癌細胞の表面にある抗原と特異的に結合する抗体と抗がん薬で構成される抗体薬物複合体というお薬を用いる最新の治療です。
2022年1月までに当院では転移性尿路上皮癌に対して免疫チェックポイント阻害薬療法を44例(キイトルーダ®39例、バベンチオ®5例)、抗体薬物複合体療法を5例(パドセブ®5例)使用しており、全国的にも治療経験の豊富な施設です。 また、病状や治療経過によっては集学的治療として薬物療法に手術療法や放射線治療も併用することで、QOLの維持・向上や生存期間の延長を目指しています。

診療実績

疾患 術式 2019 2020 2021 2022 2023
腎盂・尿管癌 腎尿管全摘除術 開放手術 1 2 - - 1
体腔鏡手術 12 6 8 13 7
ロボット支援手術 - - - - 4
膀胱癌 膀胱全摘除術 開放手術 6 2 2 2 -
体腔鏡手術 6 10 8 6 9
ロボット支援手術 - - - - 6
TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除 ) 85 95 74 86 86

紹介時から治療までの期間

治療・検査内容 初診~入院までの期間:通常 担当診療科
手術(経尿道内視鏡手術) 1~2週間 泌尿器・後腹膜腫瘍科
手術(膀胱全摘術) 2~4週間 泌尿器・後腹膜腫瘍科
化学療法 1~2週間 泌尿器・後腹膜腫瘍科