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肝臓がん

更新日:2024年1月17日

肝臓がんの情報

1.肝臓とは

肝臓は腹部の右上にあり、成人では1,000~1,500gと体内で最大の臓器です。
肝臓の役割は、食事から吸収した栄養分を取り込んで必要な成分に変える、体内でつくられたり体外から摂取されたりした有害物質を解毒し排出する、脂肪の消化を助ける胆汁をつくる、など多岐にわたっています。胆汁は肝臓の中にある胆管を通して消化管に送られます。

 

2.肝臓がんの種類

肝臓がんは、肝臓からできた原発性肝がんと肝臓以外の臓器にできたがんが肝臓に転移した転移性肝がんに分けられます。肝臓の細胞ががん化した肝細胞がんが、原発性肝がんの90%以上を占めます。胆管ががん化した肝内胆管がん(胆管細胞がん)は、原発性肝がんの約5%です。以下は肝細胞がんについて述べます。肝内胆管がんは胆道がんの項目、転移性肝がんは原発の臓器のがんの項目をご参照下さい。

 

3.症状

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、がんがあっても初期にはほとんど症状がありません。検診や他の病気の検査の際にたまたま肝細胞がんが発見されることも少なくありません。
肝臓の機能の低下が進行した場合は、腹水や足のむくみ、肝性脳症、黄疸が起こることがあります。また肝細胞がんが進行した場合は、腹部のしこりや圧迫感、痛みが起こることがあります。

 

4.発生要因・危険因子

肝細胞がんは肝硬変など肝臓の機能が低下した状態から発生することが殆どです。その原因としては、C型肝炎ウイルスおよびB型肝炎ウイルスによるウイルス性肝炎が約50%を占めます。C型肝炎ウイルスによるものは、かつては肝細胞がんの原因の70%以上を占めていましたが、C型肝炎ウイルスに対する治療法の進歩によりその割合が急速に減少しています。それ以外の原因としては、アルコール性肝炎や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などがあり、近年は非アルコール性脂肪性肝炎によるものが増加しています。
肝細胞がんは一旦根治的な治療を行っても、肝臓の他の部位から新たにがんが発生する事も多く、非常に再発率の高いがんです。

治療について

1.治療法の選択

治療方法は、全身状態、がんの進行の程度、肝機能の状態などから検討します。日本肝臓学会では「肝癌診療ガイドライン」を発行しており、その中に「治療アルゴリズム」という治療法決定のための目安が記載されています(図1参照)。ただし、このアルゴリズムはあくまでも目安であり、全ての患者さんがこの通りの治療法を選択するわけではないことはご注意下さい。当院での初回治療時の病期(ステージ)別の生存期間を治療成績図2に示します。

 

治療法を決定する上でまず重要なのは、肝臓の障害の程度(肝予備能:肝臓の機能がどのくらい保たれているか)です。検査値や症状の有無などで分類するChild-Pugh(チャイルド・ピュー)分類などで肝障害の程度を評価します。Child-Pugh分類はA、B、Cの3段階に分けられ、AからCへと進むにつれて、肝障害の程度は強まります(表1参照)。Cになると肝移植以外の治療は原則的に出来ません。当院での初回治療時の肝予備能別の生存期間を治療成績図3に示します。
当院での初回治療時の年齢の中央値は72歳でした。高齢者に対しては必要に応じて老年腫瘍科を受診して頂き、治療法を決定する際の参考としています。

 

そして、がんの大きさ、個数、がんが肝臓内にとどまっているかほかの臓器まで広がっているか(転移の有無)などによる病期(ステージ)により、治療法を決定していきます。
肝細胞がんの治療は、外科治療、ラジオ波焼灼療法、肝動脈化学塞栓療法(TACE)、分子標的薬による薬物療法が中心です。また、これらの治療が困難な場合は放射線治療が行われることもあります。当院での初回治療法別の生存期間を治療成績図5に示します。

 

 

2.手術(外科治療)  肝胆膵外科はこちら

手術を行うかどうかは、肝機能がよい場合、切除後に肝臓の量をどれだけ残せるかによって判断します。また、肝機能がChild-Pugh分類Cと悪い場合は肝移植が勧められています。

(1)肝切除
がんとその周囲の肝臓の組織を手術によって取り除く治療です。多くは、がんが肝臓にとどまり、3個以下の場合に行います。がんの大きさには特に制限はなく、10cmを超えるような巨大なものであっても、切除が可能な場合もあります。また、がんが門脈や静脈の血管、胆管へ広がっている場合でも、肝切除を行うことが可能な場合があります。ただし、腹水があるなど肝機能が悪い場合は、がんが進行していなくても、肝切除後に肝臓が機能しなくなる(肝不全となる)危険性が高く、通常は肝切除以外の治療を行います。腹腔鏡手術も、がんのある場所や術式によっては可能です。肝切除後、通常1~2週間程度で退院できます。

(2)肝移植
肝臓をすべて摘出して、ドナー(臓器提供者)からの肝臓を移植する治療法です。肝細胞がんでは、がんの個数や大きさにより保険適応(健康保険が使えるか)が決まります。当院では施行していませんが、適応と考えられる場合は実施可能な施設(近隣では九州大学病院など)に紹介します。

 

3.ラジオ波焼灼療法(RFA)  消化器・肝胆膵内科はこちら

特殊な針をがんに直接刺し、通電してその針の先端部分に高熱を発生させることで、局所的にがんを焼いて死滅させる治療法です。通常は体の外からエコーを用いて針を刺しますが、がんの部位によっては開腹や腹腔鏡を用いて行うこともあります。肝切除に比べて体への負担の少ないことが特徴です。Child-Pugh分類のAまたはBのうち、がんの大きさが3cm以下、かつ、3個以下の場合に行われることがあります。
体の外からの治療の際は、腹部の局所での麻酔に加えて、焼灼で生じる痛みに対して鎮痛剤を使用したり、静脈からの麻酔を行ったりします。焼灼時間は10~20分程度です。

●副作用について
発熱、腹痛、出血、腸管損傷、気胸、肝機能障害などの合併症が起こることがあります。治療後は、3時間程度の安静が必要です。

 

4.肝動脈化学塞栓療法(TACE)、肝動注化学療法(TAI)、リザーバー動注療法(HAIC)

消化器・肝胆膵内科はこちら

体の中を透かして見る画像(透視)を用いてカテーテルを入れ血管の造影をし、標的となるがんの治療を行います。Child-Pugh分類のAまたはBのうち、大きさが3cmを超えた2~3個のがん、もしくは、大きさに関わらず4個以上のがんがある場合に行われることがあります。塞栓療法は、他の治療(RFAなど)と併用して行われることがあります。

(1)肝動脈化学塞栓療法(TACE)
がんに栄養を運んでいる血管を人工的にふさいで、がんを「兵糧攻め」にする治療法です。カテーテルの先端を肝臓のがんの近くの動脈まで進め、抗がん剤と、肝細胞がんに取り込まれやすい造影剤を混ぜて注入し、その後に塞栓物質を注入する治療法です。肝動脈を詰まらせることでがんへの血流を減らし、抗がん剤によりがん細胞の増殖を抑えます。

(2)肝動注化学療法(TAI)
血管造影に用いたカテーテルから抗がん剤のみを注入する治療法です。

(3)リザーバー動注療法(HAIC)
カテーテルをがんの近くの動脈まで進め、リザーバーという小さな器具に接続し、皮膚の下(下腹部や足の付け根など)に埋め込みます。埋め込んだリザーバーに皮膚の上から針を刺すことにより、がんに直接抗がん剤を繰り返し投与することが可能になります。

●副作用について
治療中や治療後に、発熱、吐き気、腹痛、食欲不振、肝機能障害、胸痛などの副作用が起こることがあります。副作用の程度は、がんの大きさ、広がり、塞栓した範囲、肝機能によりさまざまです。治療後は、数時間から半日程度の安静が必要です。

 

5.薬物療法  消化器・肝胆膵内科はこちら

肝細胞がんの薬物療法では、分子標的薬による治療が標準治療です。進行性の肝細胞がんで、肝臓の機能が良好な場合に、分子標的薬による治療を行います。ここ数年で肝細胞がんに使用出来る薬物療法の種類が増え、治療の選択肢が広がりました。
分子標的薬を初めて使う場合は、アテゾリズマブ(テセントリク®)とベバシズマブ(アバスチン®)の併用療法またはデュルバルマブ(イミフィンジ®)とトレメリムマブ(イジュド®)の併用療法またはレンバチニブ(レンビマ®)またはソラフェニブ(ネクサバール®)を用います。この治療の後にがんが進行した場合は、この3剤に加えレゴラフェニブ(スチバーガ®)やラムシルマブ(サイラムザ®)やカボザンチニブ(カボメティクス®)を用いることが可能です。
またこれらの薬剤とTACE治療を組み合わせた治療もおこなうことがあります。

●副作用について
分子標的薬には、薬物ごとに固有の副作用があります。程度のごく軽い副作用も含めると、ほとんどの患者さんで何らかの副作用がみられます。また免疫チェックポイント阻害薬には免疫関連有害事象(irAE)という特殊な副作用があります。
よくある副作用は、手足の感覚が鈍くなったり過敏になったりする、手足の腫れや痛み、皮疹、下痢、食欲不振、高血圧症、疲労、脱毛、悪心です。重篤な副作用が起こる場合もあるため、当院では最初の1~2週間は入院で行います。

 

6.放射線治療

肝細胞がんの治療としては、まだ研究結果の蓄積が十分ではなく、標準治療としては確立されていません。骨に転移したときの痛みの緩和や、脳への転移に対する治療、他の治療法では困難な肝臓の中のがんに対する治療を目的に行われることがあります。

 

7.緩和ケア

痛みなどのがんに伴う様々な苦痛をやわらげる治療です。患者さんの体と心の症状をやわらげ、患者さんの生活の質を保ちできるだけ健やかに過ごしてもらうことが目的です。がんが進行してからだけではなく、がんと診断された時から、がんに対する他の治療と並行して必要に応じて対応します。

 

8.臨床試験

よりよい標準治療の確立を目指して、臨床試験による研究段階の医療が行われています。

 

5年間の治療数、検査数(肝臓がん)

  2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
経皮的穿刺ラジオ波焼灼術(RFA) 29 23 16 19 9
肝腫瘍生検 ※肝内胆管がん、転移性肝がんも含む 56 105 104 112 84
肝動脈塞栓術 72 73 62 45 40
肝動注化学療法 31 7 7 4 4
肝細胞癌全身化学療法 33 47 60 77 59
 ソラフェニブ   21 14 14 8
 レンバチニブ   22 37 38 25
 レゴラフェニブ   4 8 9 1
 ラムシルマブ   0 1 6 2
 カボザンチニブ   0 0 0 6
 アテゾリズマブ+ベバシズマブ   0 0 10 17

診療実績

外科手術件数

疾患 術式 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
原発性肝腫瘍 開腹肝切除術 18 19 16 10 11 13 12 8
腹腔鏡下肝切除術 0 7 7 19 15 15 8 6
ロボット支援下肝切除術 - - - - - - 7 6
焼灼術 0 0 3 3 3 2 0 4
その他 - - 2 0 1 2 0 0
転移性肝腫瘍 開腹肝切除術 22 20 15 15 13 11 7 11
腹腔鏡下肝切除術 0 8 21 7 10 11 13 14
ロボット支援下肝切除術 - - - - - - 2 3
焼灼術 0 1 0 0 1 0 0 0
その他 0 0 0 1 0 2 1 0
他の肝疾患 開腹肝切除術 0 1 0 0 0 0 1 0
腹腔鏡下肝切除術 0 1 0 0 2 2 0 0
その他 - - - - - 1 2 1
脾疾患 開腹脾臓摘出術 - 1 0 2 0 0 1 2
腹腔鏡下脾臓摘出術 - 2 3 4 3 0 2 1

治療成績

 

 

 

紹介時から治療までの期間

治療・検査内容 初診~入院までの期間:通常 担当診療科
検査入院 1~2週間 消化器・肝胆膵内科
化学療法 1~2週間 消化器・肝胆膵内科
手術 1~3週間 肝胆膵外科