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後腹膜腫瘍

掲載日:2022年3月25日

後腹膜腫瘍の情報

腹部臓器の中で胃や腸は腹膜という膜に包まれており腹膜に包まれた領域の背側のスペースを後腹膜腔と呼びます。後腹膜腔には腎臓、副腎、膀胱、子宮などの臓器と大動脈、大静脈などの血管、及び脂肪、筋肉、神経、骨が存在します。後腹膜腔に生じた腫瘍の総称を後腹膜腫瘍と呼びますが後腹膜腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍があります。良性後腹膜腫瘍は治療を必要としないことが多く神経鞘腫、脂肪腫、奇形腫などの疾患があり、悪性後腹膜腫瘍は治療が必要なことが多く肉腫、がん、悪性リンパ腫などの疾患があります。

 

後腹膜腫瘍の診断

後腹膜腫瘍の治療方針を検討するためには後腹膜腫瘍が肉腫なのか、がんなのか、リンパ腫なのか、良性腫瘍なのか診断を確定する必要があります。CT、MRI、PET/CTなどの画像検査で診断が確定(または推定)できる場合はその結果に基づいて診療を進めることもありますが、画像検査で診断が出来ない場合はCTやエコーで腫瘍の位置を確認しながら腫瘍に針を穿刺するなどして腫瘍の細胞や組織を採取し診断を行い(病理診断といいます)、診療の方針を検討します。

治療について

後腹膜腫瘍に対する治療

後腹膜腫瘍は比較的稀な疾患であるため当院では原則泌尿器・後腹膜腫瘍科、整形外科、消化管外科、消化管・腫瘍内科、放射線治療科、画像診断科、病理診断科などの医師と合同で症例を検討した上で診療方針を決定しています。また後腹膜腫瘍は様々な疾患を含むため、泌尿器・後腹膜腫瘍科を初診された患者さんであっても腫瘍の部位や診断に応じて担当診療科を変更することがあります。
後腹膜肉腫の手術は泌尿器・後腹膜腫瘍科、消化管外科、肝胆膵外科、整形外科などが担当し、薬物療法(抗がん薬治療)は消化管・腫瘍内科、整形外科などが担当します。悪性リンパ腫の薬物療法は血液内科が担当し、がんに対する手術や薬物療法は画像診断、病理診断に基づき担当診療科を決定します。
「後腹膜腫瘍と診断されたがどの診療科を受診したらよいか分からない」という患者さんはまず泌尿器・後腹膜腫瘍科を受診してください。画像診断、病理診断を行った上で診療を行う診療科を決定します。
後腹膜腫瘍は比較的稀な疾患ですが当院では複数の診療科で協議を行って診療にあたります。
後腹膜腫瘍に対する手術は定型的な手術ではないことが多く、大きな手術になることもありますが経験豊富なスタッフが治療を担当しますので安心して受診されてください。