診療方針
肝臓、胆嚢、膵臓のがん、前がん状態、腫瘍性病変に対しての、正確な診断と、治験や臨床試験を含めた最新の治療を行っています。手術適応や放射線治療適応の患者さんも、まずは当科で評価の後、他科(外科、放射線科、病理診断科)とのカンファレンスを経て、外科治療、化学療法、放射線療法を併用した集学的治療に入ります。外科手術後の補助化学療法も当科で行います。その他、胆管閉塞(黄疸)や十二指腸閉塞に対するステント留置、がん性疼痛に対する超音波内視鏡下神経総ブロック等、緩和内視鏡に代表される、がんの症状緩和治療にも積極的に取り組んでいます。常勤医6名、非常勤医(前副院長)1名、フェロー1名を中心としたチームです。
全国有数の肝胆膵のがん専門病院です。診断から治療までを一貫して行なっています。各種内視鏡や超音波診断装置を駆使して、正確な診断と治療に情熱を燃やしています。他のがんセンター、がん研病院等と連携しつつ、新しい抗がん剤、分子標的治療薬、ワクチン療法などを使用し、手術不能な消化器がん(肝臓がん・膵臓がん・胆道がん)の治療や臨床試験にも積極的に取り組んでいます。
肝胆膵領域のがんは、進行が速く、難治がんの代表格です。このような疾患を持たれた患者さんと向き合い、どういう治療方法が選択されても、「出来るだけ元気で、健やかに長生きを目指す治療を行いましょう」というスタンスで、我々一同、診療に臨んでいます。人生には限りがあります。しかし、病気をきっかけとして、今後の人生が、可能な限り、充実したものであるべく、一緒に考え、これからの一日一日が、かけがえのないものになるよう、医療を行う者として、少しでも手助けできれば何よりだと、考えています。
肝臓移植や重粒子線治療など、当院では行っていない治療も、その適応があると考えられれば、その専門病院への紹介を行っています。保険適応のない、あるいは承認の降りていない新薬については、治験という形で、使用が可能となる方もいらっしゃいます。近頃では、患者さん自ら治験参加を希望される方も増えてきました。遠方からの患者さんに対しては、がん相談支援センターを通して、その地域の基幹病院、中核病院と連携しつつ、治療を行っております。
内科医の本分は、豊富な知識と経験に裏打ちされた高い診断能力により、患者さん方を、理想的な治療の方向へ導いていくことにあると考えています。しかし、それぞれの医師は、皆、個性的で、知識の豊富さや経験、技量など、様々です。皆様に安心、信頼できる医療を提供するために、グループ、チーム医療を心がけております。一人の患者さんに、検査や各種処置、手術、病棟での回診などを通して、出来るだけ複数の医師が関わっていく姿勢でいます。医師だけでなく、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、臨床試験コーディネーター、心理療法士、検査技師、など、他職種間で、日頃からコミュニケーションを取り合い、笑顔の豊富な、明るい職場づくり、環境づくりにも、留意しています。
担当医表
受付時間 |
8時30分~11時 |
外来診察室 |
消化器科(Bブロック) |
初診(初めて)の方 |
代表番号 |
TEL 092-541-3231 |
再診(再来)の方 |
予約センター |
TEL 092-541-3262 |
※受診に関するお問い合わせについては上記にご連絡をお願いいたします。
※消化器・肝胆膵内科は、事前に診療情報提供書を確認させていただきます。
地域医療連携室にご連絡いただいた後、FAXをお願いいたします。
※医師の学会出張や業務の都合による急な休診・代診が発生する場合がございます。
※初診時は絶食不要です。来院後は基本的に水分(水やお茶)のみ摂取可としていますが、食事をとりたい場合には必ずスタッフに確認をお願いいたします。
レジデント・フェロー募集案内
九州がんセンター肝胆膵内科は「肝胆膵領域のエキスパート」を目指している元気なレジデント(卒後4、5年目)、フェロー(卒後6年目以降)を募集しています。
当院は消化器病学会認定施設、肝臓学会認定施設、内科学会教育関連施設、消化器内視鏡学会認定指導施設です。
研修期間は原則1~3年で、内科専門医取得後の日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医が取得できることを目標にしています。ルーチンの内視鏡検査はありませんが、消化器内視鏡学会認定指導施設であり、内視鏡専門医取得も可能です。また新内科専門医制度においても複数の病院の関連施設になっていますので、それらの病院と連携して新内科専門医の取得も可能です。それ以外でも当院での診療経験を望まれる医師の半年、1年または2年の短期の研修も歓迎します。
当科では、
- 全ての肝胆膵領域患者の管理ができること
- 必要な検査、治療を初めとする手技が安全に確実に行えること
- エビデンスをもとにした標準治療ができること、さらに新規の開発治療を取り入れること
の3つを柱とし、質の高い医療を行っています。
当科の特徴は肝、膵両方の専門スタッフがそろっており両方面から肝胆膵を幅広く、豊富な症例で学ぶことができることです。又、臨床研究や治験等最新の治療に積極的に参加していることに加えて内科医として診断から終末期の緩和治療までトータルで行っております。さらに珍しい症例も豊富で学会発表の機会も多数あります。
診療内容
肝臓疾患に関しては初期の慢性肝炎から肝硬変、早期癌へのラジオ波などの局所治療、中期癌への血管塞栓術等があります。進行癌に対する動注治療、分子標的治療、放射線治療には特に定評があり年間100例を超える進行癌に治療を行っています。合併する食道静脈瘤に対するEIS治療なども積極的に行っており、レジデント、フェローの皆さんにはこれらの治療をスタッフの指導の元で積極的に自ら行って頂きます。
肝内胆管癌、胆嚢癌などのいわゆる胆道がんはhigh-volume centerとして周辺病院からの紹介も多く、年間平均で20例超の新規患者さんが来られます。こうした患者さんについてのPTCD,内視鏡的処置や抗癌剤治療も行って頂きます。また胆道がんはプレシジョンメディスンが行われ始めた分野です。専門家のアドバイスを受けつつ新しい治療を学んでいくことができます。
膵癌は当院が特に得意とする分野です。
膵癌の新規患者さんは昨年80名を超え、ERCP件数が年間約200例、EUS件数も年間約200例と非常に豊富な実績があります。当科では、発見困難と言われる早期膵癌の発見実績も有数のものがあります。こういった手技、検査、更に種々の抗癌剤治療と言ったものを学んで実際に行って頂きます。
また膵臓は血糖コントロール、消化吸収をつかさどる臓器であるため、膵内外分泌能のチェックなど膵機能も考慮し癌による全身への影響も含め治療を行う必要があります。こういった膵臓に関する基礎的な知識も学んで頂きます。
肝胆膵がんはまだまだ難治がんの代表です。必要な手技、処置も多数あり覚えるべきことは山ほどあります。その分やりがいがあり、若いうちに身につけておけばきっと将来にわたって大きな武器になることでしょう。
実践に基づいた、肝胆膵癌治療を学んでみたい方はぜひ我々と一緒に働いてみませんか?
文責 杉本 理恵(統括診療部長)
募集案内に関するお問い合わせはこちら
レジデント・フェローカリキュラム
レジデント・フェローカリキュラム
フェロー体験記
私は内科専攻医プログラムにおいて、九州がんセンター消化器・肝胆膵内科での研修を半年間行いました。消化器領域において、がん診療は避けて通れないことを実感しており、がん診療の基礎から肝胆膵領域がんの専門的な知識、経験を習得するため、研修を希望しました。
当科は肝・胆道系領域と膵臓の専門スタッフが所属しています。日々の診療やカンファレンスで、問題点を共有し、協議しています。知識、経験の豊富な上級医に指導を受けて、多く学びながら診療に携わることができます。コメディカルや他科とのコミュニケーションは取りやすく、チーム医療を実践しています。
症例は、肝胆膵領域の前がん疾患から進行がんまで様々であり、診断、治療、化学療法の管理、緩和ケアまで、様々な診療段階に携わります。また、治験や臨床試験といった最新の診療にも携わり、治療選択肢を広げることができます。
手技に関しては、腹部エコー、ERCP、EUS、肝腫瘍生検、ラジオ波、PTGBD、PTCD等を行っています。ハイリスクな症例の処置もありますが、上級医のサポートを受けて、安全に技術の習得と向上が実感できます。臨床のみならず、定期的な論文抄読会があり、また学会発表の機会に恵まれ、学術的な視点を研鑽できたことも有意義でした。
肝胆膵領域の悪性腫瘍は進行が早いうえ予後が悪く、根治に至らない例が多いのが現状です。疾患を抱える患者さんの人生が充実するよう、消化器内科医として関わり、向き合うべく精進が必要と考えています。当院での研修は、がん診療の基礎から肝胆膵領域がんの専門的な知識、経験を習得するための環境があると実感しています。
消化器・肝胆膵内科 庄司 裕佳子
私は他院で消化器内科医として3年間研修を行いました。超音波検査、内視鏡検査、経皮処置、消化器・内科救急疾患対応などを行う中でがん診療の重要さを感じ、九州がんセンターのフェロー募集に応募しました。
当科は肝・胆道系領域専門医と膵臓専門医の2グループで構成されており、それぞれの領域の上級医からの指導を受け、ディスカッションを行いながら、診療にあたります。症例は肝胆膵領域の早期がんから進行がんまで様々であり、診断から治療、化学療法のノウハウ、外来での管理、緩和ケアまで総括して学ぶことができる場です。
手技に関しても肝胆膵領域の手技を一通り習得することが可能であり、ERCP、EUSなどの内視鏡処置、肝腫瘍生検、ラジオ波、PTGBD、PTCD等の経皮処置を行っています。前病院からの経験を下地に、更に修練を重ねています。
また治験分担医師となり、臨床試験や治験業務に携わることも可能です。それらに携わることで臨床試験や治験の仕組みを学び、最終的には臨床での治療選択肢の拡大につながります。フェローという立場上、当直業務はなくなりますが、院外研修が可能であり、他院での当直や内視鏡研修も可能も行っています。
肝胆膵領域の悪性腫瘍は予後が悪く、診断時には既に切除不能であることが多いですが、だからこそ消化器内科医としてしっかりとマネージメントできなければならないと考えています。当院での研修は肝胆膵領域のがん診療の基礎および専門的な知識・経験を身につけるにはとても良い環境であると実感しています。
消化器・肝胆膵内科 野口 達矢