絨毛がんの情報
絨毛は妊娠した際に胎児の付属器官として母体との栄養やガスの交換を行う胎盤の顕微鏡的基本構造です。この絨毛を構成している細胞から発生する癌が絨毛癌です。胎児の付属器官であるため、母体ではなく胎児の遺伝形質(すなわち父親と母親両者の遺伝情報)を有する人体に発生する極めて異例な癌腫です。この癌は血液の中を流れて転移する血行性転移が極めて盛んな癌で有名でもあります。まれに卵巣の胚から発生することがありますが、通常は妊娠した経験のある方の胞状奇胎や流産、正常妊娠の絨毛が発生起源となり、数ヶ月、数年といたある程度の期間をおいて発生してきます。子宮以外の腟、骨盤内、肺などに発生することもまれではありません。
この癌は近年減少を続けており、極めてまれな癌となっていますが、診断がつかずに放置すると致命的になるため早期に診断することが重要です。