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乳がん

更新日:2024年6月28日

乳がんの情報

乳がんは、現在増え続けており、日本の女性9人に1人が乳がんになります。特に、40歳代~60歳代にかけて多く、30歳代でかかる方も少なくありません。ご本人のみならずお子様やご家族の方々の悲しみと苦労は計り知れないものです。乳がんは早期発見によって90%以上が治せる病気です。また、早期でなくても他のがんに比べると性質がおとなしく、治療によって治る可能性が高いがんです。

治療について

乳腺科の医師は、乳腺科部長徳永えり子、常勤医、非常勤医合わせてスタッフ8名(日本乳癌学会専門医6名)の医師が乳癌の診療に当たっています。

 「病む人の気持ちを」、そしてご家族の気持ちを尊重し、温かく、思いやりある、最良のがん医療を目指すという病院の基本理念に沿った診療を行うとともに、がん専門病院として我が国の乳がんに関する医学・医療の発展に貢献するためにも、日常の臨床データの効果的な集積と解析、そしてそれに基づいた臨床研究の遂行を基本方針としています。乳がんという疾患の特徴上、対象となる患者さんのほとんどは女性であり、乳房を扱う治療においては、精神的および外観的な面に関しても、十分配慮しております。

 原発性乳がんの手術症例数は年間約300例です。乳がんの手術法、特に乳房温存療法を行うのか、乳房切除(全摘)を行うのかについては、乳がんの進行度や大きさなどがんの状況と、患者さんの希望とを十分に考慮して決定しています。乳房切除後に乳房再建を行う患者さんもおられます。乳房再建については、その適応、方法、再建時期などについて、当院形成外科医師とも十分連携、相談して決めています。また、術前の検査で明らかな腋窩(えきか)リンパ節転移のない患者さんには、センチネルリンパ節生検を行い、多くの症例で腋窩リンパ節郭清を省略しています。

 乳がんは、乳がんの生物学的性質(サブタイプ)によって、再発率や薬物療法の効果が異なっています。そのため、術前や術後に再発リスクを低減するための補助療法も進行度やサブタイプによって異なっています。乳がんの治療はがん医療の中でも最も個別化治療が進んでいる分野です。進行度やサブタイプに応じて適切に治療することで、再発率は低下し、生存率は向上してきています。また、再発・転移乳がんに対しても、これまでの多くのエビデンスに基づき、また、患者さんの希望やおかれた状況も十分に吟味しながら、それぞれの患者さんに最善の治療を実践するよう心掛けております。

 世界においては、新規薬剤の開発が進み、悪性腫瘍の治療成績は向上してきています。世界に遅れをとらないためにも、国際的に実施される治験(グローバル試験)に日本も参加することが非常に重要となります。当科では、日本における迅速な新規薬剤の保険承認に貢献すべく、参加可能なグローバル試験に積極的に参加しています。

 また、がんの治療においても、病気だけを診るのではなく、“病む人”を全人的に診ることが大切です。患者さんは“病気をもった生活者”であるという視点を忘れず、病院を離れた生活の各場面にも配慮した治療の提供を目指しています。がんの生物学的な側面だけではなく、患者さんの心理的、社会的、倫理的、経済的な側面にも留意した医療実現のため、さまざまな職種が協力し、チーム医療、全人的医療の実践に取り組んでいます。

診療実績

手術・処置の名称 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
原発乳癌切除術 302 264 304 296 308 346 337 376 355 320
乳腺良性腫瘍摘出手術 21 10 10 8 6 8 7 12 15 12
再発乳癌切除術 13 14 16 18 15 21 20 16 15 20
センチネルリンパ節生検 209 203 244 240 253 286 283 311 289 254
腋窩郭清 91 60 77 57 56 61 49 54 57 53
乳房再建術 9 5 4 6 8 5 11 9 15 17

紹介時から治療までの期間

治療・検査内容 初診~入院までの期間:通常 担当診療科
手術 8~10週間 乳腺科
化学療法 3週間 乳腺科