診療方針
当科では消化管の検査と内視鏡治療を行っています。検査は、主に食道、胃、大腸の内視鏡検査や超音波内視鏡検査、造影X線検査(透視)を行っており、これらの検査を駆使して、癌の発見や進行度の評価、治療適応の判断を行っています。具体的には、消化管スクリーニング検査や検診異常に対する精査、他院での内視鏡検査で発見された癌あるいは癌の疑われる患者さんに対する精査などを行っています。治療は、主に早期消化管癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)や大腸ポリープに対する内視鏡的切除(EMR・ポリペクトミー)、消化管癌による消化管狭窄に対するステント留置術などを行っています。治療に伴う身体的負担が少ないことが、内視鏡的治療の最大の利点です。しかしながら、消化管癌においては、他の臓器の癌との重複も多くみられることや、進行度や全身状態に応じて治療方針を検討する必要があることから、消化管外科や消化管腫瘍内科、頭頸科(耳鼻咽喉科)など、様々な診療科との緊密な連携を図りながら、それぞれの患者さんにとって最も適切な治療が行えるように努めています。
診療内容
食道 |
食道癌 |
胃 |
胃癌 |
大腸 |
結腸癌、直腸癌、大腸ポリープ |
●内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:Endoscopic Submucosal Dissection)
従来より行われている内視鏡的粘膜切除術(EMR)では切除する病変の大きさに制限があり、また、切除範囲を厳密に決定することは困難でした。このため、2cmを超えるような大きな病変では分割切除になることも多く、切除標本の病理学的診断が不十分となることや、腫瘍の遺残による局所再発が懸念されていました。ESDはEMRと比較して,大きさに関係なく、広い範囲を一括で、かつ任意の範囲で切除することが可能です。消化管癌のESDの適応は、原則として『臨床的に(リンパ節)転移がなく、かつ治療後も(リンパ節)転移をきたす可能性が極めて低いと考えられる病変』であり、疾患別に以下のようになっています。
・食道癌のESD
絶対適応:深達度が粘膜上皮(cT1a-EP)あるいは粘膜固有層(cT1a-LPM)まで
相対適応:深達度が粘膜筋板(cT1a-MM)あるいは粘膜下層表層(cT1b-SM1(SM浸潤距離200um未満))まで
・胃癌のESD
絶対適応:1)深達度が粘膜内(cT1a-M)かつ組織型が分化型かつ潰瘍(瘢痕)を伴わない
2)潰瘍(瘢痕)を伴う場合、大きさが3cm以下で、深達度が粘膜内(cT1a-M)かつ組織型が分化型
3)組織型が未分化型の場合、大きさが2cm以下で、深達度が粘膜内(cT1a-M)かつ潰瘍(瘢痕)を伴わない
相対適応:上記以外の早期胃癌
・大腸癌のESD
- EMRによる一括切除が困難な以下の早期癌または早期癌が疑われる病変
1)非顆粒型側方発育腫瘍(LST-NG)、特に偽陥凹型
2)拡大内視鏡にてVi型pit patternを呈する病変
3)粘膜下層軽度浸潤癌(cT1a-SM1(SM浸潤距離1000um未満))
4)大きな陥凹性病変
5)大きな隆起性病変
- 粘膜下層に線維化を伴う粘膜内腫瘍
- 潰瘍性大腸炎などの慢性炎症を背景としたsporadicな局在腫瘍
- 内視鏡的切除後の局所遺残早期癌
- 大きさが1cm未満の神経内分泌腫瘍
●内視鏡的粘膜切除術(EMR;Endoscopic Mucosal Resection)・ポリペクトミー
大腸ポリープは、大きさによって癌を含む確率(担癌率)が異なることがわかっており、基本的に大きさが大きくなればなるほど、担癌率が高くなります(5mm以下で1%未満、6~9mmで約3%、10mm~19mmで約10~20%、20mm以上で30%前後)。そのため、径6mm以上の大腸ポリープは内視鏡的治療の適応となります。
担当医表
受付時間 |
午前外来:8時30分~11時 午後外来:13時~15時 |
外来診察室 |
消化管・内視鏡科 (Cブロック) |
初診(初めて)の方 |
代表番号 |
TEL 092-541-3231 |
再診(再来)の方 |
予約センター |
TEL 092-541-3262 |
※受診に関するお問い合わせについては上記にご連絡をお願いいたします。
※医師の学会出張や業務の都合による急な休診・代診が発生する場合がございます。
※初診時は絶食不要です。来院後は基本的に水分(水やお茶)のみ摂取可としていますが、食事をとりたい場合には必ずスタッフに確認をお願いいたします。