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皮膚腫瘍科

更新日:2024年4月1日

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診療方針

当科では皮膚がんの診療を専門に担当しています。社会の高齢化とともに皮膚がんは増加傾向にあり、最近の本邦における年間罹患数は20,000人を超えます。皮膚がんは全身の皮膚および粘膜のあらゆる部位から発生し、悪性黒色腫(メラノーマ)、有棘細胞がん、基底細胞がん、乳房外パジェット病、隆起性皮膚線維肉腫、血管肉腫、メルケル細胞がんなどさまざまな種類があります。皮膚がんの種類によって大きく性質が異なり、治療法もそれぞれ異なります。皮膚がんの確定診断には生検(局所麻酔での組織検査)が必要ですが、その前段階としてダーモスコープという光学機械を用いた検査を行います。この検査は痛みを伴わず、特にホクロと早期のメラノーマを見分ける場合のように、色のついた皮膚病変の診断に特に有用です。またCTやPET-CTなどの画像診断や、がんの種類によってはセンチネルリンパ節生検を行い、進行に応じた治療を行います。早期で小型の皮膚がんであれば、1〜2泊の短期入院や日帰りでの手術が可能ですが、病変が大きく皮弁や植皮による再建を必要とする場合や、リンパ節を含めた切除が必要な場合では1〜2週間ほどの入院が必要です。手術ができない進行がんの場合は、化学療法、放射線療法、免疫療法を組み合わせた集学的な治療を行います。

また他の診療科で治療されているがん患者さんの、薬剤や放射線による皮膚障害のサポートも行います。

診療内容

皮膚悪性腫瘍 悪性黒色腫、有棘細胞がん、基底細胞がん、乳房外パジェット病、隆起性皮膚線維肉腫、血管肉腫、メルケル細胞がんなど
皮膚良性腫瘍 色素性母斑、脂腺母斑など

 

悪性黒色腫
日本人の悪性黒色腫の半数は、手掌、足底、指趾および粘膜に発生するため、同部位に思春期以降に出現した色素病変には注意する必要があります。もちろんあらゆる場所に発生する可能性があるので、色や大きさが変化してきたなど、気になるホクロやシミがあればご相談ください。また生まれつきあるホクロ(先天性色素性母斑)は、非常にまれですが悪性化することがあるので、予防的に切除することもできます。当科ではダーモスコープ、生検による確実な診断と、画像診断、センチネルリンパ節生検による所見に基づき手術を行います。また病期により術後の再発・転移のリスクが高いと考えられる場合は、術後補助療法を行います。手術ができない進行例では、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的治療薬などによる治療を行います。

 

有棘細胞がん
長年にわたり紫外線を浴び続けた顔や手背などの皮膚に、光線角化症とよばれる、かさつきのある紅斑ができることがあります。光線角化症はごく早期の有棘細胞癌で、この段階であれば切除の他に、イミキモドクリームによる外用治療が可能な場合もあります。進行すると潰瘍を伴う大きな腫瘤となり、進行度により手術や放射線療法、化学療法を行います。またやけどやケガのあと(瘢痕)から発生することがあるので、昔の瘢痕が盛り上がってきた、治りにくい潰瘍ができた、などの場合は注意が必要です。

 

基底細胞がん
まぶたや鼻、口の周りなど顔面の中心にできることが多い、最も頻度が高い皮膚がんです。光沢のある黒色の結節を呈することが多く、ゆっくりと増大し潰瘍化します。また生まれつきの頭部の脱毛斑(脂腺母斑)から、中年以降に基底細胞がんが発生することがあります。転移することはほとんどなく、手術が第一選択です。

 

乳房外パジェット病
外陰部に好発する皮膚がんで、最初の症状はかゆみを伴う紅斑なので、湿疹や真菌症と誤診されることがあります。がん細胞が広い範囲に認められることが多いため、大きく切除し必要に応じて植皮を行います。

 

隆起性皮膚線維肉腫
皮膚に赤いコブのような病変を生じるため、初期はケロイドと間違えることがあります。再発しやすいので、見た目の境界から大きく離して切除する必要があります。

 

血管肉腫
高齢者の頭部にできることが多いまれな皮膚がんです。最初は紫斑(皮下出血)のように見えますが、急速に拡大し、肺転移を起こします。手術を行うことは少なく、主に化学放射線療法を行います。

 

メルケル細胞がん
高齢者の顔面にできることが多いまれな皮膚がんで、光沢のある赤い腫瘤を呈することが多いです。転移を起こしやすく、手術の後に放射線療法を追加することもあります。手術ができない場合は放射線療法や免疫療法を行います。

治療期間目安

対象疾患 治療内容 初診〜入院までの期間:通常 担当診療科
悪性黒色腫 手術 2〜4週間 皮膚腫瘍科
化学・免疫療法 1〜2週間 皮膚腫瘍科
有棘細胞がん 手術 1〜3週間 皮膚腫瘍科
化学・免疫療法 1〜2週間 皮膚腫瘍科
放射線治療 2〜3週間 皮膚腫瘍科
基底細胞がん 手術 1〜3週間 皮膚腫瘍科
そのほかの皮膚がん 手術 1〜3週間 皮膚腫瘍科
化学・免疫療法 1〜2週間 皮膚腫瘍科
放射線治療 2〜3週間 皮膚腫瘍科

実施中の治験・臨床試験

  • 当科で実施中の治験はこちらをご覧ください。
  • 当科で実施中の臨床試験はこちらをご覧ください。

担当医表

*診療科責任者
   
午前 初診 内 博史 * <休診日> 内 博史 * <休診日> 内 博史 *
再診
受付時間 8時30分~11時
外来診察室 皮膚腫瘍科 (Jブロック)
初診(初めて)の方 代表番号 TEL 092-541-3231
再診(再来)の方 予約センター TEL 092-541-3262
※受診に関するお問い合わせについては上記にご連絡をお願いいたします。
※医師の学会出張や業務の都合による急な休診・代診が発生する場合がございます。
※初診時は絶食不要です。来院後は基本的に水分(水やお茶)のみ摂取可としていますが、食事をとりたい場合には必ずスタッフに確認をお願いいたします。

レジデント・フェロー募集案内

 九州がんセンター皮膚腫瘍科では、レジデント(卒後3-5年目)、フェロー(卒後6年目以降)を募集しています。研修期間は、原則2年(場合によっては1年または3年)で、皮膚科専門医、皮膚悪性腫瘍指導専門医の取得を目標にしています。他科へのローテーションも可能です。

 当科では、悪性黒色腫、有棘細胞癌、基底細胞癌、乳房外パジェット病、血管肉腫など、あらゆる皮膚悪性腫瘍に対して、診断から手術、化学・免疫療法、放射線療法を行っています。皮膚悪性腫瘍は種類によって治療アルゴリズムが大きく異なるため、正確な診断とそれぞれの症例に最適な治療方針の決定が重要となります。

当科の診療内容

1.皮膚悪性腫瘍の診断・鑑別
 ダーモスコープを用いて、色素病変や血管病変の診断・良悪性の鑑別に必要な所見を抽出します。また必要に応じて生検を行い、病理専門医とのディスカッションを通じて確実に診断します。

2.治療方針の決定
 腫瘍の種類、原発巣の評価に基づき、CT, MRI, PET-CTなどの各種画像検索を行い、それぞれの患者にEBMによる最善の治療方針を決定します。

3.手術
 腫瘍の種類、進行度に応じて適切なマージンで原発巣を切除し、また進行度によりセンチネルリンパ節生検、リンパ節郭清を行います。欠損範囲により局所皮弁、植皮により、整容面にも十分に配慮した再建を行います。またEBMにもとづくアジュバント治療を行います。

4.化学・免疫療法、放射線療法
 転移・再発例では、腫瘍の種類やそれぞれの症例の全身状態に応じた最適な治療を安全に行います。特に悪性黒色腫の免疫チェックポイント阻害薬による治療では、免疫治療特有の治療経過の理解と、起こりうる免疫関連有害事象の病態の把握、他職種と連携した各事象への対応に注力しています。

5.治験、臨床試験
 新しいエビデンスを構築し、より良い標準治療を確立するために、治験・医師主導治験、臨床試験に参加しています。

6.他科での皮膚障害のマネージメント
 EGFR-TKIによる爪囲炎や5−FUによる手足症候群など、ADLやQOLを低下させる可能性のある皮膚障害に対し、原疾患の治療が安全に継続できるように適切な介入を行っています。

 悪性黒色腫を始めとする皮膚悪性腫瘍の治療は、日進月歩で進化しており非常にアクティブな分野です。お気軽にご連絡ください。

文責 内 博史(皮膚腫瘍科医長)
募集案内に関するお問い合わせはこちら

スタッフ紹介

皮膚腫瘍科 医長

内 博史

Hiroshi Uchi

皮膚腫瘍科

皮膚腫瘍

皮膚腫瘍科 医師

和田 尚子

Naoko Wada

皮膚腫瘍科

皮膚腫瘍

Hiroshi Uchi

皮膚腫瘍科 医長

内 博史

Hiroshi Uchi

所属診療科
皮膚腫瘍科
出身大学
九州大学(平成9年)
専門分野

皮膚腫瘍

資格および活動

資格
日本皮膚科学会(専門医)
日本皮膚科学会(悪性腫瘍指導専門医)
がん治療認定医機構(認定医)
日本アレルギー学会(専門医)

 

活動
日本皮膚科学会(評議員)
日本皮膚外科学会(評議員)
日本研究皮膚科学会(評議員)

Naoko Wada

皮膚腫瘍科 医師

和田 尚子

Naoko Wada

所属診療科
皮膚腫瘍科
出身大学
長崎大学(平成22年)
専門分野

皮膚腫瘍

資格および活動

資格
日本皮膚科学会(専門医)