診療方針
すべての悪性疾患が放射線治療の対象になりえます。放射線治療科では各々の患者さんについて十分に検討し、治癒を目指す根治照射、がんによる症状の軽減を目指す緩和照射、手術の補助となる術前または術後照射など、目的を明確にして治療を行っています。診療は國武直信、中島孝彰、吉満凜吾、阿部円香の常勤医3名、非常勤医1名を中心に、治療専任の診療放射線技師、看護師等を加えてチーム医療を行っています。
当科では高精度放射線治療として、2008年には定位照射(いわゆるピンポイント照射)、2010年には強度変調放射線治療(IMRT)をそれぞれ開始しました。定位照射は原発性及び転移性の、脳・肺・肝・骨腫瘍に対して行っています。強度変調放射線治療は前立腺、婦人科領域、頭頸部領域を中心に、種々の疾患に対して治療を行っています。これらの治療法で、病変にはより高線量を投与しつつ、周囲の正常組織の無駄な被ばくを減らして治療することが可能となりました。
2014年3月からは最新鋭の高精度放射線治療装置"TrueBeam STx"が稼働し、新たに脳定位照射を開始しました。さらに、従来は固定多門照射法で行っていた強度変調放射線治療を改良し、回転しながら照射する強度変調回転放射線治療(VMAT)が可能となりました。これにより治療時間の大幅な短縮が可能となり、患者さんの負担が軽減されるとともに長時間固定中の体動による照射ターゲットの"ずれ"も最小限にすることが可能となっています。
上にお示ししました外部照射(体外から放射線を照射する方法)に加えて、高いエネルギーの放射線がでるチップのついたワイヤーを病変部に直接挿入・刺入して治療を行う方法があります。この治療法は小線源治療といい、病変により多くの線量をあてて、正常組織への無駄な放射線照射を減らすことに役立っています。小線源治療は婦人科領域を中心として年間30-50例程度を行っています。
私たちはこれらの治療装置・治療法を駆使し、すべてのがん患者さんにそれぞれの病態に合わせた治療方法を検討し、最善の治療法をとれるよう努力しています。