診療方針
2018年9月に日本の病院で初めて老年腫瘍科を開設しました。米国で老年医学と腫瘍内科の専門医を取得した高齢者のがん医療の専門医(老年腫瘍医)が診療しています。
がん治療には手術、放射線、抗がん剤、緩和などがありますが、どの治療が相応しいかは、治療効果、安全性、患者さんの価値観を考慮して、個々の患者さんにあった治療法を選択します。がんの治癒、延命や症状緩和などを目指して治療をおこないますが、治療やその副作用・合併症が体にストレスとなり日常生活機能や生活の質を落とす患者さんも見られます。特に高齢者では、患者さんごとに副作用や合併症の危険性、そしてどの程度の強度の治療に耐えられるかが異なります。
当科では、総合的な健康状態を明らかにして、一人一人の予備能力に基づき抱えているがんにどのような治療が適切か考えます。このために、身体機能、認知機能、栄養状態、こころの状態、持病、処方薬そして生活環境を、本人のみならずご家族からの情報、そしてテストなども行い客観的に評価します。さらに、評価によって明らかになった様々な問題に対して、理学療法士、心理療法士、薬剤師や栄養士など、多職種による検討を行い健康状態の維持・改善を目指します。このように包括的に健康状態を評価し、見つかった問題に対してケアやサポートを提供することを、高齢者総合的機能評価(CGA)と呼びます。CGAは老年医学領域で長年行われてきた歴史があります。このような老年医学の考え方を高齢がん患者さんの医療にとりいれた専門領域を老年腫瘍学といいますので、当科は老年腫瘍科を標榜しています。この取り組みは、先進的な診療としてこれまでに日本経済新聞、西日本新聞や読売新聞で紹介されました。
2020年9月7日付 日本経済新聞朝刊
https://style.nikkei.com/article/DGXKZO63443090U0A900C2TCC000/
2020年2月24日付 日本経済新聞朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55959400R20C20A2TJM000/
2022年5月16日付 西日本新聞朝刊
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/923589/
2023年9月6日付 読売新聞朝刊
https://www.yomiuri.co.jp/medical/renaissance/20230905-OYT8T50094/