中間悪性骨軟部腫瘍の情報
良性と悪性の中間の性質を持つ腫瘍があり、中間悪性腫瘍と定義されています。命に影響を及ぼす可能性は低い一方で、再発率が高い、あるいは稀に転移する、といった特徴を持っています。
中間悪性腫瘍には特殊なものがあり、いくつか例示します。「骨巨細胞腫」は代表的な中間悪性骨腫瘍です。
「デスモイド腫瘍」は強い浸潤傾向を示す中間悪性軟部腫瘍です。
「リン酸尿性間葉系腫瘍」は腫瘍から産生されるホルモンにより低リン血症と骨軟化症をきたす腫瘍です。骨折を繰り返してこの病気が判明する場合が多いです。腫瘍が小さくて場所がわかりにくいことも多く専用の核種を用いたPET検査や静脈サンプリングなどの特殊な検査が必要になることもあり近隣の専門施設と連携して検査を行います。
治療について
抗がん剤治療や放射線治療を行うことは少なく手術での治療を行いますが、良性腫瘍と同様に腫瘍の部分だけを切除するか、悪性腫瘍のように広範切除を行うか、というのは腫瘍の種類や発生部位によって異なります。例えば比較的頻度の高い「異型脂肪腫様腫瘍」は良性の「脂肪腫」と同様に辺縁切除を行うことが多いですが、「孤発性線維性腫瘍」や「隆起性皮膚線維肉腫」といった腫瘍に対しては広範切除を行うのが一般的です。
「骨巨細胞腫」
通常は自分の骨を残して内部をかきだす(掻把:そうは)手術を行いますが、再発しやすく、また稀に肺転移を起こします。近年デノスマブという骨粗鬆症や骨転移に用いられる薬剤に骨巨細胞腫の進行を止める効果があることがわかり保険も適用されるようになりました。薬だけでは腫瘍細胞を除去することはできないため主に手術ができない腫瘍に使用しますが、薬と手術を併用するなどの工夫もしています。
「デスモイド腫瘍」
広範切除を行ってもしばしば再発しますが、時間の経過とともに縮小に転じることがあります。最新のガイドラインでは基本的に手術を行わずに経過観察することが推奨されています。周囲の組織に浸潤することで支障をきたす場合には病変内切除や放射線治療、抗がん剤治療などを行うこともあります。
「リン酸尿性間葉系腫瘍」
腫瘍の切除で骨軟化症は改善しますが、切除不能な場合にもこのホルモンを抑える新しい薬剤が使用できるようになっています。