治療について
当科は1984年に結成された九州・山口小児がん研究グループ(KYCCSG)の事務局で、グループ結成後これまでに急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、非ホジキンリンパ腫(NHL)に対する治療研究を行ってきました。例えばALLに関しては、グループとして6つめの治療研究であるKYCCSG ALL-02を2002年から2008年まで行い、全生存率約90%、無再発生存率約80%と治療成績の向上を認めています。
2003年に日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)が設立され、以後の10年間で、これまで多種かつ希少であるために施設毎、地域毎でしか行われていなかった小児がん治療の多くが、全国統一プロトコールで治療できるようになりました。当科は現在、小児血液・がん専門医研修施設(2011年4月学会認定)としてJPLSGの多くの治療研究に参加し、治療を行っています。
治療成績
参考情報(当科が参加した小児白血病の臨床試験の結果)
1.小児急性リンパ性白血病(ALL)の治療成績(KYCCSG ALL-02, 2002〜2007年診断)
九州山口の1歳以上18歳以下の小児ALL156例のうち、標準リスク群(SR)は57名、高リスク群(HR)は99名でした。SRの7年無病生存率(EFS)と全生存率(OS)は、87.9%と94.7%、HRの7年EFSとOSは70.6%と86.5%でした。

Int J Hematol (2016)103: 202-209より
2.小児急性骨髄性白血病(AML)の治療成績(JPLSG AML-05, 2006〜2010年診断)
日本全国118施設の18未満の小児AML485例がAML-05臨床試験に登録・治療されて、登録時2歳以上の340例の3年EFSは55.2%、3年OSは74.7%でした。

Int J Hematol (2013)98: 578-588より