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腫瘍病態研究部

English

 

 九州がんセンター臨床研究センターの前身、臨床研究部の歴史は、1976年、全国にさきがけて、はじめて国立病院・国立療養所内に併設された3研究機関にさかのぼります。当時より、病理学、生化学といった基礎的な方法論を用いて、臨床につながるがんの基礎研究を目指してきたその伝統は、2011年、組織が臨床研究センターに昇格したのちは、この腫瘍病態研究部にひきつがれました。

 基礎研究による知見を臨床研究につなげていくことをしばしば、トランスレーショナル・リサーチと呼びます。しかしながら、分子標的治療やバイオマーカーの出現は、基礎的知見と臨床とをより直截的に結びつけました。もはや、基礎研究のないがん研究はありえません。がんの基礎研究を臨床研究と一体化しておこなうためには、豊富な症例に加え、バイオマテリアルの体系的蓄積(「腫瘍バンク」をご参照ください。)、つねに稼働する解析プラットフォーム、情報の管理、処理能力が必要となります。しかしながら、このような体制の整備は、規模の大きなアカデミアにおいても容易ではありません。このような体制は、治療薬の早期開発段階から必須であり、当院が内外の製薬企業から注目される所以となっています。

 個別化医療を目指す今日のがん診療において、欠かせない役割を担うのが、バイオマーカーです。バイオマーカーは、特定の治療への応答等を左右するなど、その疾患の診療上重要な遺伝子の構造や機能状態です。現在、多くのバイオマーカーが、遺伝子の変異など、遺伝学的マーカーにとどまっていますが、今後、タンパク質レベル、あるいは生化学的、組織学的レベルにまで拡張されることが予想されます。また、バイオマーカーの多様性とその意義についても、まだまだ明らかになっていないことが少なくありません。バイオマーカーを指標とした個別化医療をより確実で、信頼に足るテクノロジーに進化させるためには、さらなる基礎研究(バイオマーカー研究)が必要です。

 腫瘍病態研究部は、遺伝学、生化学、分子生物学、病理学、細胞生物学のそれぞれの方法論別に5つの研究室から構成されています。それぞれが、独自のアプローチをもちいて、バイオマーカー研究を推進しています。


腫瘍バンク

がんに特化した国内最大級の生体試料(バイオマテリアル)バンクを運営しています。
7000を超える症例のがん組織より抽出されたDNA、RNAが蓄積されています。
腫瘍バンクサンプルの利用は「委託研究・寄附」をご参照ください。


連携研究

施設内外の研究者や企業と活発な共同研究を行っています。


委託研究・寄附

腫瘍バンクのサンプルや当研究部の解析系を利用した研究の委託を受け付けています。
また、がん研究を推進するための寄附をひろく募っています。
下記の連絡先まで、お気軽にご相談、お問合せください。

<連絡先>
腫瘍病態研究部腫瘍遺伝学研究室(担当:織田)
TEL:092-541-3231
E-mail:メールアドレス


腫瘍病態研究部長
(臨床研究センター長が併任)

腫瘍病理学研究室

腫瘍病理学研究室

  • Tel :+81(0)92-541-3231
  • Fax:+81(0)92-542-8534
  • E-mailメールアドレス

室長紹介

田口 健一 Kenichi Taguchi


Research Goals

  • 基礎生物学と形態計測学に裏付けられた新しい病理形態学に基づく腫瘍組織診断基準の確立

Personal History

  • 1993年 九州大学医学部卒業
  • 1996年 九州大学大学院医学系研究科 入学(第二病理(恒吉正澄)配属)
  • 2002年 学位取得(医学博士)
  • 2003年 米国Pittsburgh大学移植病理学Visiting Fellow (Anthony J. Demetris)
  • 2004年 独立行政法人国立病院機構九州がんセンター臨床研究部腫瘍病理学
  • 2011年 同臨床研究センター腫瘍病態研究部腫瘍病理学研究室

Research Goals

1. 形態学を中心とした発がんメカニズムの解明及び新しい診断法の確立

 発がん並びにがん診断を中心に研究を行っている。総論的には発癌の各ステップを構成する分子異常を、種々のpathwayごとに網羅的に整理し、病理形態学的特徴との関連付けを行い、癌の性格診断につなげ、ひいては予後改善のためのオーダーメイド医療へのガイドラインを作成することを目標とする。更にはその中から診断もしくは治療の指標となるマーカーを同定し、新たな診断法を確立する。また、これを行うにあたり、免疫組織(細胞)化学を組織(細胞)上での蛋白発現解析ととらえ、新たな免疫組織(細胞)化学の技術開発を行っている。

2. 基礎生物学と形態計測学に裏付けられた新しい腫瘍病理形態学の確立

 病理学は18世紀のMorgagniの病理解剖学からVirchowの細胞病理学を経て二百数十年にわたって得られた膨大な知識を基に展開されている。病理学の中でも特に占める割合が大きい顕微鏡レベルの変化を対象とする組織病理学を臨床医学の一分野という側面からみると、医療の現場で病理診断学として重要な位置を占めている。しかし、基礎医学、とりわけ基礎生物学の一分野という側面からみると基礎生物学者から多大な期待を寄せられているにもかかわらず、その要望には十分には応えられていないと思われる。その理由の一つは現在の病理学で使用されている用語が過去の経験により積み重ねられてきた知識を基につくられたものであり、近年発展著しい基礎生物学的知見からの再検証が十分に行われていないことによるのではないだろうか。また、組織病理学から得られるデータが経験やトレーニングを通して得られる「感覚的」なものであるために客観的な比較や理解が困難となっていることがもう一つの理由となっている。客観的な比較や理解を可能にする為には抽出しようとするデータの明確な定義とその数値化を行い、更にモデル化することが重要である。それにより真の意味での病理形態学という新しい病理学の一分野を築きたいと考えている。

 近年、診療における遺伝子解析の重要性が増大し、遺伝子解析用の検体確保のために病理医による新しいサンプルマネージメントの必要性が生じてきた。例えば、検体が少量である場合、複数ある遺伝子検査の中で最も疑わしい遺伝子検査に検体を供する必要がある。そのためには遺伝子異常を推定できる更なる病理形態学的特徴を見いだすことが必要となる。細胞核の異型度判定はがん病理診断に重要な要素の一つである。病理診断に使われる細胞核所見はがん細胞が有するゲノム変化に特に影響を受けると考えられる。本研究室では核形態を数値化し、ゲノム変化が核の形状に与える変化をモデル化し、定量的なデータに裏付けられたエビデンスに基づく核異型度の評価体系をつくることを目標としている。


代表的公刊業績

Selected publications

  1. Morphometric and cytomorphologic characterization of EGFR-mutated cancer cells-comparison between cultured lung cancer cell lines and lung adenocarcinoma clinical samples.
    Nishiyama N, Taguchi K, Yokoyama T, Ichinose Y, Kage M.
    Diagn Cytopathol. 2016 Sep;44(9):717-24. doi: 10.1002/dc.23514.
  2. The Prognostic Impact of Jumonji Domain-containing 2B in Patients with Resected Lung Adenocarcinoma.
    Toyokawa G, Taguchi K, Edagawa M, Shimamatsu S, Toyozawa R, Nosaki K, Hirai F, Yamaguchi M, Shimokawa M, Seto T, Takenoyama M, Hamamoto R, Sugio K, Ichinose Y.
    Anticancer Res. 2016 Sep;36(9):4841-6.
  3. Clinical Significance of Detecting Somatic Gene Mutations in Surgically Resected Adenosquamous Cell Carcinoma of the Lung in Japanese Patients.
    Morodomi Y, Okamoto T, Takenoyama M, Takada K, Katsura M, Suzuki Y, Fujishita T, Kitahara H, Shimamatsu S, Kohno M, Tagawa T, Okano S, Taguchi K, Ichinose Y, Maehara Y.
    Ann Surg Oncol. 2015 Aug;22(8):2593-8. doi: 10.1245/s10434-014-4218-0.
  4. A multicenter phase II study of carboplatin and paclitaxel for advanced thymic carcinoma: WJOG4207L.
    Hirai F, Yamanaka T, Taguchi K, Daga H, Ono A, Tanaka K, Kogure Y, Shimizu J, Kimura T, Fukuoka J, Iwamoto Y, Sasaki H, Takeda K, Seto T, Ichinose Y, Nakagawa K, Nakanishi Y; West Japan Oncology Group..
    Ann Oncol. 2015 Feb;26(2):363-8. doi: 10.1093/annonc/mdu541.
  5. The significance of fibroblast growth factor receptor 2 expression in differentiation of hepatocellular carcinoma.
    Harimoto N, Taguchi K, Shirabe K, Adachi E, Sakaguchi Y, Toh Y, Okamura T, Kayashima H, Taketomi A, Maehara Y.
    Oncology. 2010;78(5-6):361-8. doi: 10.1159/000320463.
  6. Hematin is an alternative catalyst to horseradish peroxidase for in situ hydrogelation of polymers with phenolic hydroxyl groups in vivo.
    Sakai S, Moriyama K, Taguchi K, Kawakami K.
    Biomacromolecules. 2010 Aug 9;11(8):2179-83. doi: 10.1021/bm100623k.
  7. Expression of an X-family DNA polymerase, pol lambda, in the respiratory epithelium of non-small cell lung cancer patients with habitual smoking.
    Ohba T, Kometani T, Shoji F, Yano T, Yoshino I, Taguchi K, Kuraoka I, Oda S, Maehara Y.
    Mutat Res. 2009 Jun-Jul;677(1-2):66-71. doi: 10.1016/j.mrgentox.2009.05.008. Erratum in: Mutat Res. 2009 Sep-Oct;679(1-2):88. Ichiro, Yoshino [corrected to Yoshino, Ichiro].
  8. An injectable, in situ enzymatically gellable, gelatin derivative for drug delivery and tissue engineering.
    Sakai S, Hirose K, Taguchi K, Ogushi Y, Kawakami K.
    Biomaterials. 2009 Jul;30(20):3371-7. doi: 10.1016/j.biomaterials.2009.03.030.

腫瘍遺伝学研究室

腫瘍遺伝学研究室

  • Tel :+81(0)92-541-3231
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室長紹介

織田 信弥 Shinya Oda


Research Goals

  • 発がんに伴うゲノム変化の全貌を明らかにすることで、高等生物におけるゲノム編成とその制御の仕組みを理解すること。

Personal History

  • 1989年 九州大学医学部 卒業
  • 1991年 九州大学大学院医学系研究科 入学
        生体防御医学研究所生化学部門(関口睦夫)配属
  • 1995年 学位取得(医学博士)
  • 1998年 英国王立癌研究基金クレアホール研究所ポストドクトラルフェロー
        Mammalian DNA repair Lab(Peter Karran) 配属
  • 2000年 国立病院九州がんセンター臨床研究部研究員
  • 2003年 国立病院九州がんセンター臨床研究部主任研究官
  • 2004年 独立行政法人国立病院機構九州がんセンター臨床研究部主任研究員
  • 2005年 同腫瘍動態研究室室長
  • 2009年 同腫瘍遺伝学研究室長
  • 2011年 臨床研究センター腫瘍遺伝学研究室長

Research Goals

  • 発がんに伴うゲノム変化の全貌を明らかにすることで、高等生物におけるゲノム編成とその制御の仕組みを理解すること。

Overview
Previous and current research/Future projects
Scopes and perspectives

 生物の遺伝情報はそのゲノムに担われている。それでは、ゲノムとは一体どのような情報媒体なのだろうか。磁気テープ、CD、ICチップ。これまで人類はさまざまな情報媒体をつくり出して来た。しかしゲノムはそのいずれとも異なった体制をとっているはずである。コドン表の解読によって、遺伝子のコード領域がタンパク質の一次構造情報として読み解けるようになった時代を、「一次遺伝学の時代」と呼ぶことができる。非コード領域が最小化した大腸菌の生物学が長足の進歩を遂げた時代である。一方、高等真核生物のゲノムには長大な非コード領域、とくに「遺伝子ではない領域」が存在する。ゲノムの75%にもおよぶこの領域の生理機能はわかっていない。

 機能は異常からわかる。大腸菌の遺伝子機能がいわゆるミュータントによって明らかにされたように。ゲノム機能破綻の好例とはがん化(腫瘍化)ではないだろうか。腫瘍では、さまざまなレベルでのゲノム構造異常が観察される。これは主に2つのカテゴリーにわけることができる。
A. 染色体不安定性(chromosomal instability, CIN)
B. 高変異形質(mutator phenotype, MP)
の2つである。今から20年前、がん化の原因としてはなばなしく登場した癌遺伝子や癌抑制遺伝子は、腫瘍の中で点突然変異によってその機能を変化させていた。また、癌抑制遺伝子では、対立遺伝子2コピーがともに失われるメカニズムとして、染色体DNAの不安定化による染色体文脈の脱落が重要であることもわかった。このように、がん化においては、遺伝子の塩基配列が変化する突然変異と染色体の数や構造の変化とが重要な役割を担っていることはまちがいない。前者が多く発生する形質は高変異形質(mutator phenotype, MP)、後者が頻発する状態は染色体不安定性(chromosomal instability, CIN)と呼ばれている。このような現象を実際の腫瘍でつぶさに観察することで、CINやMPがゲノム機能を損なうメカニズム、そしてひいては、ゲノムとは一体どのような情報媒体なのかを想像をすることはできないだろうか。

 われわれの研究グループはこの10年間、一貫してヒト腫瘍におけるMPに興味をもち研究を続けて来た。発がんに関与する多くの遺伝子群が突然変異によりその構造機能を変化させるとき、ゲノム上の突然変異率が実際に上昇しているのかどうかについては議論がある。しかし、実際の腫瘍ではこれらの遺伝子群に実に多くの突然変異がみつかる。ゲノム上の突然変異率の上昇は、
A. DNAポリメラーゼに関連した分子異常
B. DNAミスマッチ修復(DNA mismatch repair, MMR)異常
C. 酸化的DNA損傷修復の異常
などによりもたらされる。われわれの研究グループはこれらのうち、とくにMMR異常によってもたらされるMPと発がん遺伝子変異との関連について多くの研究を行い、両者の関係に新しいイメージを与えることが出来た。


 このような「フィールド・ワーク」を通じて、発がんに必要なゲノム機能破綻が実際にはどのようなイベントによってもたらされているのかを明らかにしたい。この研究が発がんの分子メカニズムの一端を明らかにすることはまちがいないが、その延長線上に高等真核生物のゲノム編成のしくみを見据えていきたい。最近、イヌゲノムプロジェクトの結果が報じられた。興味深いことに、プードルとボクサーのちがいは遺伝子間配列のわずかなちがいであった。遺伝子そのものは違わない。われわれの研究も、発がんにおける遺伝子間配列変化の意義をクローズ・アップすることが予想される。そのような展開のうちに、「第二」の分子遺伝学のパラダイムが準備されるかもしれない。


 発がんの分子遺伝学は、純科学に資するだけではない。MMR異常などのDNA代謝異常は、家族性腫瘍のリスクとなるだけでなく、抗癌剤感受性をも大きく修飾する。がん患者集団でこのような分子異常を同定し、抗癌剤治療をアルゴリズム化することで、真に「個別化された(individualised)」、あるいは「テイラー・メイドの(tailor-made)」がん治療がもたらされる。このような分子異常を正確に同定する解析手法の開発と検査商品化、さらにはこれを用いた遺伝子診断や臨床試験と、がん臨床の現場とも活発な共同研究を行っている。


代表的公刊業績

Selected publications

  1. Oda S, Oki E, Maehara Y, Sugimachi K
    Precise assessment of microsatellite instability using high resolution fluorescent microsatellite analysis.
    Nucleic Acids Res 25: 3415-3520, 1997
  2. Oki E, Oda S, Maehara Y, Sugimachi, K
    Mutated gene-specific phenotypes of dinucleotide repeat instability in human colorectal carcinoma cell lines deficient in DNA mismatch repair.
    Oncogene 18: 2143-3247, 1999
  3. Oda S, Humbert O, Fiumicino S, Bignami M, Karran P
    Efficient repair of A/C mismatches in mouse cells deficient in long-patch mismatch repair.
    EMBO J 19: 1711-1718, 2000
  4. Maehara Y, Oda S, Sugimachi K: The instability within
    problems in current analyses of microsatellite instability
    Mutation Res (DNA repair) 461: 249-263, 2001
  5. Kimura Y, Oda S, Egashira A, Kakeji Y, Baba H, Nakabeppu Y, Maehara Y
    A variant form of hMTH1, a human homologue of E. coli mutT gene, correlates with somatic mutation in p53 tumour suppressor gene in gastric cancer patients
    J Med Genet 41: e57, 2004
  6. Oda S, Maehara Y, Ikeda Y, Oki E, Egashira A, Okamura Y, Takahashi I, Kakeji Y, Sumiyoshi Y, Miyashita K, Yamada Y, Zhao Y, Hattori H, Taguchi K, Ikeuchi T, Tsuzuki T, Sekiguchi M, Karran P, Yoshida MA
    Two modes of microsatellite instability in human cancer: differential connection of defective DNA mismatch repair to dinucleotide repeat instability
    Nucleic Acids Res 33: 1628-1636, 2005
  7. Zhao Y, Miyashita K, Ando T, Kakeji Y, Yamanaka T, Taguchi K, Ushijima T, Oda S, Maehara Y
    Exclusive KRAS mutation in microsatellite-unstable human colorectal carcinomas with sequence alterations in the DNA mismatch repair gene, MLH1.
    Gene 423: 188-93, 2008
  8. Yoshida R, Miyashita K, Inoue M, Shimamoto A, Zhao Y, Egashira A, Oki E, Kakeji Y, Oda S, Maehara Y
    Concurrent genetic alterations in DNA polymerase proofreading and mismatch repair in human colorectal cancer.
    Eur J Hum Genet 19: 320-325, 2011
  9. Nakao S, Zhang S, Vaara M, Syväoja JE, Lee MY, Tsurimoto T, Karran P, Oda S
    Efficient long DNA gap-filling in a mammalian cell-free system: A potential new in vitro DNA replication assay.
    Biochimie 95: 320-328, 2013
  10. Wakasa K, Kawabata R, Nakao S, Hattori H, Taguchi K, Uchida J, Yamanaka T, Maehara Y, Fukushima M, Oda S
    Dynamic modulation of thymidylate synthase gene expression and fluorouracil sensitivity in human colorectal cancer cells.
    PLOS ONE 10(4): e0123076, 2015 doi:10.1371/journal.pone.0123076

腫瘍生化学研究室

(不在)

腫瘍分子生物学研究室

腫瘍分子生物学研究室

  • Tel :+81(0)92-541-3231
  • Fax:+81(0)92-551-4585
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研究員紹介


瀧口 総一  Soichi Takiguchi


Research Goals

  • クロマチン構造制御のがん悪性度と老化における意義 がん転移の分子機構の解明

Personal History

  • 1988年 九州大学薬学部 卒業
  • 1991年 九州大学大学院薬学研究科修士課程 進学
        微生物薬品化学教室(関水和久教授)配属
  • 1993年 九州大学大学院薬学研究科博士後期課程 修了
        学位取得 博士(薬学)
  • 1993年 がん研究振興財団リサーチレジデント
        国立病院九州がんセンター臨床研究部化学療法研究室(河野彬室長)配属
  • 1995年 国立病院九州がんセンター臨床研究部研究員
  • 1999年 九州大学大学院薬学研究院客員助教授
  • 2004年 独立行政法人国立病院機構九州がんセンター臨床研究部癌分子治療研究室室長
  • 2010年 九州大学大学院薬学研究院客員教授
  • 2011年 独立行政法人国立病院機構九州がんセンター臨床研究部腫瘍分子生物学研究室長

研究内容

Research Goals
クロマチン構造制御のがん悪性度と老化における意義
がん転移の分子機構の解明

Previous and current research/Future projects
癌分子治療研究室では、癌関連遺伝子の個体レベルでの機能解析及び癌転移のモデル動物の解析を研究の基礎として、九州がんセンターの診療部および他施設と共同して以下の研究テーマを展開しております。

1. クロマチンの構造変化を制御する遺伝子群の癌と老化における意義

 DNAのメチル化やクロマチンのメチル化、アセチル化による構造変化は、遺伝子の発現調節やゲノムの安定性と密接に関連していることが知られております。これらエピジェネティクな要因による染色体構造の変化と、癌および老化などの生理現象との関連性の解明を研究の目標としております。当研究室では、癌関連遺伝子群で特にヒストンの脱アセチル化に関与する遺伝子に着目して、ジーンターゲティングを始めとするマウス発生工学の手法、分子生物学あるいは細胞生物学的手法を用いてこのテーマに取り組んでおります。

2. 悪性腫瘍骨転移の分子機序とその制御

 癌治療法の腫瘍原発巣の制御はある程度まで可能になったが、転移の制御はいまだ満足できる状況ではありません。骨転移は肝、肺転移と同じ血行性転移ですが、転移先臓器として肝、肺と並んで骨にも高率の転移が認められるにもかかわらず、その研究が立ち遅れています。当研究室では、骨転移のモデル動物を用いて、骨転移の成立過程を明らかにし、その理論に基づいた分子標的治療薬の開発を行うことを目的としています。

3. 膵臓癌発生の分子機構および治療法に関する研究

 膵臓癌は予後不良であるとともに早期診断が困難で、診療時に既にリンパ節、肺、肝転移や腹膜播種が見られることが多い。よってこのような転移の制御が重要になります。当研究室では膵臓癌転移のモデル動物を使用して、新規薬剤による治療実験を行っています。また、膵性糖尿病などの膵疾患と膵臓癌との関連性に関する基礎研究も分子生物学的手法により行っております。


代表的公刊業績

Selected publications

  1. Maki S, Takiguchi S, Miki T, Horiuchi T.
    Modulation of DNA supercoiling activity of Escherichia coli DNA gyrase by F plasmid proteins: antagonistic actions of LetA (CcdA) and LetD (CcdB) proteins.
    J. Biol. Chem. 267: 12244-12251, 1992.
  2. Maki S, Takiguchi S, Horiuchi T, Sekimizu K, Miki T.
    Partner switching mechanisms in inactivation and rejuvenation of Escherichia coli DNA gyrase by F plasmid proteins LetD (CcdB) and LetA (CcdA).
    J. Mol. Biol. 256: 473-482, 1996.
  3. Takiguchi S, Takata Y, Funakoshi A, Miyasaka K, Kataoka K, Fujimura Y, Goto T, Kono A.
    Disrupted cholecystokinin type-A receptor (CCKAR) gene in OLETF rats.
    Gene 197: 169-175, 1997.
  4. Takiguchi S, Suzuki S, Sato Y, Kanai S, Miyasaka K, Shinozaki H, Takata Y, Funakoshi A, Kono A, Minowa O, Kobayashi T, Noda T.
    Role of CCK-A receptor for pancreatic function in mice: a study in CCK-A receptor knockout mice.
    Pancreas 24: 276-283, 2002.
  5. Yaguchi M, Wada Y, Toh Y, Iguchi H, Matsusue K, Takiguchi S.
    Identification and characterization of the variants of metastasis-associated protein 1 generated following alternative splicing.
    Biochim. Biophys. Acta 1732: 8-14, 2005.
  6. Shimazoe T, Morita M, Ogiwara S, Kojiya T, Goto J, Kamakura M, Moriya T, Shinohara K, Takiguchi S, Kono A, Miyasaka K, Funakoshi A, Ikeda M.
    Cholecystokinin-A receptors regulate photic input pathways to the circadian clock.
    FASEB J. 22: 1479-1490, 2008.
  7. Matsusue K, Kusakabe T, Noguchi T, Takiguchi S, Suzuki T, Yamano S, Gonzalez FJ.
    Hepatic steatosis in leptin-deficient mice is promoted by the PPARγ target gene Fsp27.
    Cell Metab. 7: 302-311, 2008.
  8. Mohammad S, Ozaki T, Takeuchi K, Unno K, Yamoto K, Morioka E, Takiguchi S, Ikeda M.
    Functional compensation between cholecystokinin-1 and 2 receptors in murine paraventricular nucleus neurons.
    J. Biol. Chem. 287: 39391-39401, 2012.
  9. Takiguchi S, Korenaga N, Inoue K, Sugi E, Kataoka Y, Matsusue K, Futagami K, Li YJ, Kukita T, Teramoto N, Iguchi H.
    Involvement of CXCL14 in osteolytic bone metastasis from lung cancer.
    Int. J. Oncol. 44: 1316-1324, 2014.

腫瘍細胞生物学研究室

腫瘍細胞生物学研究室

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研究員紹介


長谷川 温彦  Atsuhiko Hasegawa


Research Goals

  • 成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)に対するHTLV-1 Taxペプチドパルス樹状細胞療法の効果持続機序の解明

Personal History

  • 1999年 山口大学農学部獣医学科 卒業
  • 2003年 東京医科歯科大学医学系研究科 修了
        学位取得 博士(医学)
  • 2003年 米国Harvard大学研究員(Division of Viral Pathogenesis,BIDMC)
  • 2005年 米国Tulane大学研究員(Division of Immunology,TNPRC) 
  • 2008年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科免疫治療学分野助教
  • 2014年 東京医科歯科大学医学部内講師(併任)
  • 2017年 中国武漢科技大学客員教授(併任)
  • 2019年 独立行政法人国立病院機構九州がんセンター臨床研究センター腫瘍病態研究部腫瘍細胞生物学室長

研究内容

Research Goals
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)に対するHTLV-1 Taxペプチドパルス樹状細胞療法の効果持続機序の解明

Previous and current research/Future projects
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)はヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)感染によって引き起こされ、多剤併用化学療法、ポテリジオなど、これまでに開発された有効な治療法を以ってしても、再発してしまうケースの多い難治性の疾患です。当センター血液内科/細胞治療科の末廣陽子先生を中心に実施されたHTLV-1 Tax(HTLV-1 のウイルスタンパクの1つ)を標的としたペプチドパルス樹状細胞療法の臨床研究および第I相臨床治験では、副作用がほとんどなく、多くの患者さんで4年以上の無治療無増悪期間が認められています。ATLが種々の治療に対して抵抗性を獲得し、高率に再発してしまう疾患であることを考慮すると、本樹状細胞療法は極めて期待できる寛解維持療法であると言えます。この臨床研究の主目的の一つである細胞傷害性T細胞(CTL)応答の改善は、樹状細胞接種後ほとんどのATL患者さんに認められており、機能を回復したCTLが腫瘍細胞の生存・増殖をコントロールしていると推測できます。しかし、樹状細胞接種後にCTL応答の改善がわずかであった患者さんでも、長期寛解が得られていることからCTL以外の免疫担当細胞が腫瘍細胞の増殖制御に貢献していると考えられます。当研究室では、樹状細胞接種後、CTL以外の免疫担当細胞が抗腫瘍効果を発揮する機序を解明するため、血液内科、細胞治療科と共同で研究を行っています。


代表的公刊業績

Selected publications

  1. Subbramanian RA, Moriya C, Martin KL, Peyerl FW, Hasegawa A, Naoi A, Chhay H, Autissier P, Gorgone DA, Lifton MA, Kuus-Reichel K, Schmitz JE, Letvin NL, and Kuroda MJ.
    Engineered T-cell receptor tetramers bind MHC-peptide complexes with high affinity.
    Nat. Biotechnol. 22(11):1429-34., 2004.
  2. Hasegawa A, Moriya C, Liu H, Charini WA, Vinet HC, Subbramanian RA, Sen P, Letvin NL, and Kuroda MJ.
    Analysis of TCRab Combinations used by Simian Immunodeficiency Virus-Specific CD8+ T Cells in Rhesus Monkeys: implications for CTL immunodominance.
    J. Immunol. 178(6):3409-17., 2007.
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    Potential contribution of a novel Tax epitope-specific CD4+ T cells to graft-versus-Tax effect in adult T cell leukemia patients after allogeneic hematopoietic stem cell transplantation.
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    Clinical outcomes of a novel therapeutic vaccine with Tax peptide-pulsed dendritic cells for adult T cell leukaemia/lymphoma in a pilot study.
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    HTLV-1 Tax-Specific CTL Epitope-Pulsed Dendritic Cell Therapy Reduces Proviral Load in Infected Rats with Immune Tolerance against Tax.
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    A novel mother-to-child HTLV-1 transmission model for investigating the role of maternal anti-HTLV-1 antibodies using orally infected mother rats.
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