感染管理部長あいさつ
ICTについて
ICTとはInfection Control Team(感染制御チーム)の頭文字をとったもので、病院内の感染制御の中心的役割を果たします。ICTには感染管理医師(ICD)、感染管理看護師(ICN)、感染制御専門薬剤師(ICPH)、感染制御認定臨床微生物検査技師(ICMT)などが所属しており、それぞれ専門家の立場から感染制御に向けて日々活動を行っています。こうした活動は病院内での感染流行を予防し、患者さんが院内で安全に治療を受けられるよう病院の基本的な医療安全管理体制の一つになっています。
感染というと世界にパンデミックを引き起こし、すべての人々の命に、仕事に、生活に大きな影響をもたらしたCOVID-19感染症を思い浮かべる方が多いでしょう。この経験は感染症の前にいかに人類が脆いものであるかということを思い知らせてくれたのと同時に、感染から適切に身を守ることの重要性、治療薬や予防薬の必要性、そしてリスクのある方を感染症から守る方法など様々なことを学ばせてくれたと思います。
COVID-19感染はまだまだ収まったとは言えない状況ですが、世間は少しずつ日常を取り戻しているかに見えます。しかしがん患者さんがCOVID-19に感染すると重篤化したり、がん治療が適切なタイミングで受けられなかったり、感染によって体力が低下して予後が悪くなったりする状況は変わっていません。がんセンターでは患者さんが安心してがん治療を受けていただけるよう感染対策を行い、院内ではマスクを外さないこと、面会の時に体温チェックさせていただくことなどのルールにご協力いただいています。これらは全て患者さんが安全、安心してがん治療を受けていただくための対策です。
さらに感染はCOVID-19だけではありません。多剤耐性菌や結核、真菌やウィルスなど院内で蔓延させてはならない病原体は多数存在しています。そうした感染症から患者さんを守るためにも我々は日々院内の感染症発生状況の監視、感染拡大の予防対策の立案、標準予防策の啓発、必要に応じて隔離予防策(空気感染隔離、飛沫感染隔離、接触感染隔離)の実施、清掃・消毒・滅菌の指導、個人用保護具の調達、医療従事者への予防接種実施の判断などを行っています。
また我々は院内に限らず保健所や医師会、関係医療機関とも連携して感染対策を実施しています。
2024年4月1日
文責 統括診療部長 感染対策チームチームリーダー 杉本理恵