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第6回 九州がんセンター市民公開講座の質問回答を掲載しました

2016年10月21日

 

平成28年9月10日(土)の市民公開講座は終了致しました。
講座に参加して頂いた皆さん、質問して頂いた皆さんありがとうございました。
頂いた質問に対して回答を掲載しております。

   

【事前申し込み質問】

  1. 地域エリアごとの緩和ケアの状況を知りたい。
  2. 住居型老人ホームでの可能な緩和ケアとは?
  3. すでに抗がん剤治療、放射線治療を受け、移植、世界的レベルの治療を終了したと病院の説明を受けても、本人が最後まで生きる事を強く望む時、家族のできる事は?居場所は? 相談されてとても悩みました。教えてください。
  4. 現在、抗剤がん治療を受けた大きな病院で緩和ケアを受けています。今後、緩和ケアを在宅で訪問看護等を入れて続けたいのですが、移行はどのタイミングで行えば良いですか?
  5. 緩和ケアをする上で、一番大切にしている事は何ですか?
  6. 私自身数年前にがんで治療をして、現在、元気に過ごしています。再びがんの発症の際、痛みの緩和のみをお願いする事は可能でしょうか?他の治療を辞退するということです。
  7. 緩和ケアがある施設を探す上でチェックする点、気をつけることはありますか?

【当日会場での質問】
<<病院医師への質問と回答>>

  1. 緩和ケアとは具体的には疼痛コントロールの麻薬などの服用のことでしょうか?
  2. 担当医に、たくさん伝えたいことがあるのですが、外来では忙しそうで自分だけが時間を取るのは申し訳ないです。どうしたらうまく伝えられますか?診察の前に受付にメモを渡してもいいでしょうか?
  3. がんの転移骨折後の痛みが取れる方法がありましたら、お願いします。
  4. 今までの緩和ケアのイメージが強いため、 明るい緩和ケアを他の名称に変えてはいかがでしょうか?
  5. 家族が末期がんで在宅療養しています。 無口な人なので、何をしてほしいか“伝えて”くれません。どういった声かけをしたら良いでしょうか。
  6. 痛みのコントロールは、言うまでもなくとても大事なことです。今現在の痛みを緩和する薬物について(効用力・種類)などを教えて下さい。医療麻薬など。
  7. 「あなたの気持ちの確認用紙」の詳しい内容を教えてほしい。
  8. 抗がん剤を使っているときは緩和ケアを受けられないと聞いたことがあります。積極的な治療を受けないのが緩和になりますか?病気がすすまないよう抗がん剤使いながら、痛みをとりたいと思うとき受けられるのでしょうか?施設や医師によってもちがうのでしょうか?
  9. 緩和というとどうしても末期の人というイメージがあります。
  10. 抗がん剤を拒否した場合、病院を変わらないといけなくなりますか?

<<在宅医への質問と回答>>

  1. 伝えることが大切なことがよく分かりましたが、医療スタッフの方へ聞いてもらえる方策を具体的に教えて下さい。
  2. 治療を継続して受診しながら、緩和ケアは受けることが出来るのでしょうか?
  3. 緩和ケアは、在宅生活を考えられる方全てにあてはまるという捉え方でよろしいでしょうか
  4. 在宅診療の場合、看取りが重なったりしないでしょうか。そのときは、どのように対応されていますか。亡くなったあとは、定期的に家族の方にフォローされてますか?
  5. 在宅でのリハビリは(訪問リハ)の役割は何ですか?
  6. 認知症における緩和ケアとは、どのような内容になりますか?全く想像がつきません。教えてください。
  7. がんとかでなく、高齢者の緩和ケアってあるのですか?
  8. ホスピスの費用
    1.一日あたり?円
    2.保険適用以外の費用
    3.年金額が少ない場合はどう対処すればいいのか?
  9. 自宅近くで在宅緩和ケアをやっている訪問医を探すにはどうすればよいですか?
  10. 在宅医として、先生は老人ホーム等の回診はされていますか?されているのであれば事例を教えてください。
  11. 施設がご自宅の方の在宅医療については、どのような考え方を持てばよいでしょうか。24H対応して頂ける医師が確立していなくて、当直看護師、夜勤ケアスタッフだけではターミナルが難しいと感じてます。
  12. 末期がんで、余命も告げられています。現在ホスピス見学をしていますが、在宅医療にもずっと興味があります。問題は一人暮らしで在宅医療が可能かどうかです。独居での在宅医療が可能かどうか教えてください。
  13. 在宅で輸血が難しい理由はなぜですか?
  14. 歩ける人も訪問診療の利用は出来ますか?肺がん脳転移があり通うには不安があります。
  15. 早期から緩和ケアをするのか、ターミナルからするのか主治医の判断でよいのでしょうか?全ての医師が早期から緩和ケアの実施をすべきでは…
  16. 利用者様の心の中にすんなりと入って行く方法。先生が常日頃心掛けている事を教えて下さい。
  17. 緩和ケアは、がん早期から開始できる、とおっしゃっていましたが、具体的にどのように行うのですか?痛みをとめることなどが緩和ケアなら、なぜ全ての患者に適応されていないのですか?
  18. 緩和ケアについて聞かれ「痛み止めを沢山飲まなきゃいけない、それだけでしょう」と言われた時、どのような説明をされますか?
  19. 高齢の家族が一年前から膵臓がんで抗がん剤治療をしております。先日、1ヶ月もたないかもみたいな事を言われました。このまま抗がん剤治療をしていってもよいのでしょうか。
  20. 「緩和ケア」の定義や目指すものの中で『延命治療』とはどのような定義・位置付けを持つものなのでしょうか?「緩和ケア」とは、『延命治療』を視野に入れないものと認識して良いでしょうか?特に本人が判断不可の状況に陥った時に事前の意思表示をしていれば、胃瘻を始めとする延命治療を受けずに済むものでしょうか?法による制約等にも思いが至るところでもあります。デリケートな課題ですので、可能な範囲でお話頂ければ幸いです。
  21. 肺がんの父と2人暮らしです。病院で現在治療をしていますが、抗がん剤の副作用で「きついきつい」とよく言います。先生からは、「つらい、きついはわかる。ただ病院スタッフにきつく当たらないでほしい。家族で解決してほしい。」と言われました。本人は家族に気をつかい本音を話しません。在宅でサポートされている方々は、患者家族の思い等をどのように受けとめるように心がけていますか。

<<訪問看護師への質問と回答>>

  1. 訪問看護師をしています。何度在宅看取りを行っても後悔することが多く、慣れず2~3日へこんでしまいます。訪問看護師として、自分の気持ちを平常心に保てるよう何かしていることがありますか。
  2. 頼れる身内もなく、一人で死んでいく事は覚悟していますが…せめて、生きてて良かった!と思って死にたいです。どうしたらいいですか?
  3. 訪問看護を相談する時期を迷う。
  4. 訪問看護は、介護保険と医療保険どちらも両方使える唯一のサービスとのことでしたが、両方併用する際の使い方を具体的に教えて下さい。(利用頻度とサービス内容について)医療保険でも月の内14日のみしか入れないときいてますが、その後、どのように対応しますか?

<<患者体験者への質問と回答>>

  1. 一日に内服される鎮痛剤の回数はどれくらいですか。鎮痛剤の効果がなくなった時のダメージ(身体的、心理的)がありますか。
  2. 医療用麻薬を飲んでいると言われていましたが、副作用はないのですか?「ちょっと怖い」という気持ちはありませんか。
  3. 緩和ケアを希望する場合、自分から希望して、ケアをうけることができるものでしょうか?主治医のすすめ?が必要ですか?早くから緩和ケアを利用したい場合など、緩和ケアを受ける手順、手続きがあれば、教えて頂きたいです。
  4. 在宅ケアは一人暮らしでもできますか?
  5. 自宅で通院という形で利用されていることが“緩和ケア”なら、他の患者さんが入院されているのはなぜですか?先ほどのお話をきくと、緩和ケアにメリット、入院しての闘病にデメリットしか感じられませんでした。緩和ケアを早期から受けることでのデメリットはあるのですか?
  6. いろいろな相談は誰になさっていますか?(先生方はお忙しいと思いますが)

<<在宅医・患者体験者への質問と回答>>

  1. 高齢の家族が末期のがんです。在宅でみていますが、ずっと苦しそうで、本人が好きだったことにも気力がわかない様子です。意識はハッキリしており、本人はただただ辛そうです。本人も家族も「自宅でおだやかに最期を」と思っていますが、この状況で、どうしたら少しでも本人にとってよい日々をすごせるでしょうか?(なんとなくですが「よい最期」はむかえられる気がします。それまでの日々の過ごし方・生き方に悩み中です。)

   

【事前申し込み質問】

Q1. 地域エリアごとの緩和ケアの状況を知りたい。

講演会の中でもお伝えしましたように、早期からの緩和ケアを各地域にあるがん診療拠点 病院(福岡県には19施設)の中にある緩和ケアチームが専門的に担っていますが、基本的な緩和ケアはどの病院でも治療チーム(治療を担当する医師や看護師)が行っています。
また、終末期における緩和ケア主体の治療はがん診療拠点病院でも行っていますが、主に緩和ケア病棟(ホスピス)のある病院(福岡県には現在33施設)や在宅支援診療所など が担っています。

    

Q2. 住居型老人ホームでの可能な緩和ケアとは?

訪問診療、訪問看護を依頼すれば可能です。
介護職の方へは看護師や医師が説明をして、皆で最後まで見ることが出来るように支援します。

    

Q3. すでに抗がん剤治療、放射線治療を受け、移植、世界的レベルの治療を終了したと病院の説明を受けても、本人が最後まで生きる事を強く望む時、家族のできる事は?居場所は? 相談されてとても悩みました。教えてください。

家族や本人が何を望んでいるのかをしっかりと聞くことからはじめて行く必要があると 思います。
最期まで生きることを望むことは皆さんそうだと思います。
家族は本人のそばに寄り添うことではないかと思います。
場所は望む場所で調整だと思います。

    

Q4. 現在、抗剤がん治療を受けた大きな病院で緩和ケアを受けています。 今後、緩和ケアを在宅で訪問看護等を入れて続けたいのですが、移行はどのタイミングで行えば良いですか?

在宅でのケアを受けたいと考えた時からがスタートだと思いますので 是非相談して準備を始めてください。
準備をしておけばいつでもご希望の時からスタートできると思います。

    

Q5. 緩和ケアをする上で、一番大切にしている事は何ですか?

*座談会でお答えした中から、患者体験者の分を記載いたします*
私らしく療養生活を送ること、自分の生活レベルをできるだけ保てるような緩和ケアを受けること。

    

Q6. 私自身数年前にがんで治療をして、現在、元気に過ごしています。再びがんの発症の際、 痛みの緩和のみをお願いする事は可能でしょうか?他の治療を辞退するということです。

他の治療を辞退することなく緩和ケアを並行して進めることができます。
しかし正常な判断能力があり、ご自身の価値観や生き方としての決断であれば、思いを尊重して緩和ケア主体の治療のみを行う事も可能です。

    

Q7. 緩和ケアがある施設を探す上でチェックする点、気をつけることはありますか?

事前に見学等もお願いすればできると思いますので、訪問してみるのが良いかと思います。
また、面談の時の印象も大事ですし、合わないと感じた時は素直に伝えた方が良いと思い ます。

【当日会場での質問】

≪病院医師への質問と回答≫

Q8. 緩和ケアとは具体的には疼痛コントロールの麻薬などの服用のことでしょうか?

緩和ケアとは、痛みだけを取ることだけに限定するものではありません。
がんと診断された早期からでも、病気に伴って起きる様々なつらさを和らげ、いつもの生活をできる限り送ることができるよう病気と上手につきあっていくためのケアです。

    

Q9. 担当医に、たくさん伝えたいことがあるのですが、外来では忙しそうで自分だけが時間を取るのは申し訳ないです。どうしたらうまく伝えられますか?診察の前に受付にメモを渡してもいいでしょうか?

伝えようとしても、診察となると、上手く伝えられなかったり、忘れたりすることもあるので、伝えたいことを箇条書きにしてメモし整理しておくことは大切です。
また、何を質問したらよいか分からない時は、
国立がん研究センターがん対策情報センターホームページ内の冊子「重要な面談にのぞまれる患者さんとご家族へ」を御参照ください。
http://ganjoho.jp/public/support/communication/question_prompt_sheet.html

    

Q10. がんの転移骨折後の痛みが取れる方法がありましたら、お願いします。

疾患の詳細が分からないため具体的にお答えできませんが、痛みを取る方法は幾つかありますので、担当の医師等へお尋ねになってはいかがでしょうか。

    

Q11. 今までの緩和ケアのイメージが強いため、 明るい緩和ケアを他の名称に変えてはいかがでしょうか?

ご指摘ありがとうございます。
なお、今回は緩和ケアの今までの暗いイメージを少しでも払拭したいという思いからのメッセージです。
つらい症状が和らぎ自然に笑顔がでてくることもある。
それが「明るい緩和ケア」と考えています。

    

Q12. 家族が末期がんで在宅療養しています。 無口な人なので、何をしてほしいか“伝えて”くれません。どういった声かけをしたら良いでしょうか。

現在担当されている医師や看護師にご相談されることをお勧めします。
また、下記のホームページなどが御参考になるかもしれません。
国立がん研究センターがん対策情報センターホームページ内の「家族ががんになったとき」
http://ganjoho.jp/public/support/family/fam01.html
乳がん患者の配偶者を対象とした「妻が乳がんと言われたら・・・」
http://bcf-support.paflic.net/
またそれぞれの体験者の生の声が掲載されたホームページもございます
http://www.dipex-j.org/

    

Q13. 痛みのコントロールは、言うまでもなくとても大事なことです。今現在の痛みを緩和する薬物について(効用力・種類)などを教えて下さい。医療麻薬など。

現在、痛みを緩和する薬剤は多種多様にあります。
がん情報サービス(一般の方向けサイト)の薬の使い方と注意点などをがご参考になるかもしれません。
http://ganjoho.jp/public/dia_tre/medicine/index.html

    

Q14. 「あなたの気持ちの確認用紙」の詳しい内容を教えてほしい。

九州がんセンターでは「あなたの気持ちの確認用紙」を入院時に配布しており、『今後の病気や生活の心配事』『自分らしく過ごすために大切なこと』『医療に関する希望を周囲に伝えているか』などについて医療者と患者家族が一緒に話し合うための用紙です。

    

Q15. 抗がん剤を使っているときは緩和ケアを受けられないと聞いたことがあります。積極的な治療を受けないのが緩和になりますか?病気がすすまないよう抗がん剤使いながら、痛みをとりたいと思うとき受けられるのでしょうか?施設や医師によってもちがうのでしょうか?

がん治療を行っている病院でも、抗がん剤治療を継続しながら痛みや様々な症状を取るための緩和ケアを受ける事ができます。
がん患者が、いつでも、どこにいても緩和ケアが等しく受けられるように、国の政策として推進されていますが、まだまだ、周知に至っていないのが現状です。
もっと広く緩和ケアが正しく周知されるよう、私たちも努力していきます。

    

Q16. 緩和というとどうしても末期の人というイメージがあります。

緩和ケアは、終末期に限るものではなく、がんと診断された時から、また、積極的な抗がん治療中でも、つらい症状を和らげるための緩和ケアを一緒に受ける事ができます。

    

Q17. 抗がん剤を拒否した場合、病院を変わらないといけなくなりますか?

状況により、医療者は色々な選択をする為、ケースバイケースとしかお答えできませんが、病院を替わる事がご心配であれば、担当の医師によくご相談をされてはいかがでしょうか。

    

≪在宅医への質問と回答≫

Q18. 伝えることが大切なことがよく分かりましたが、医療スタッフの方へ聞いてもらえる方策を具体的に教えて下さい。

まずは、各診療科の窓口などで「お話したいことがあります」と伝えてみてください。
うまく伝えられなかったり、忘れたりすることもあるので、伝えたいことを箇条書きにしてメモし整理しておくことは大切です。
また、がん診療拠点病院にはがん相談支援センタ-があります。まずはそこで相談する事も可能です。

    

Q19. 治療を継続して受診しながら、緩和ケアは受けることが出来るのでしょうか?

可能です。講演でもお話ししたように治療の早期から緩和ケアを受ける事が大事です。
現在は多くの病院で医療連携室がありますからそこで“緩和ケア”について相談してみてはいかがでしょうか?

    

Q20. 緩和ケアは、在宅生活を考えられる方全てにあてはまるという捉え方でよろしいでしょうか

そうです。認知症、脊髄損傷、神経難病などは残念ながら治癒を望むことが難しいもので、そういう意味では手術不能がんと同じです。
つまり緩和ケアの考え方があてはまります。

    

Q21. 在宅診療の場合、看取りが重なったりしないでしょうか。そのときは、どのように対応されていますか。亡くなったあとは、定期的に家族の方にフォローされてますか?

看取りが重なったことは1,2回しかありません。
また看取りの場合は必ず訪問看護ステーションがついていて私がすぐに行けなくても先に行ってくれる場合が多いです。
さらに看取りの時はそれほどバタバタしておらず家族の人も安らかにみていますのでご心配されるほど困ることはありません。
私は亡くなってからしばらくしてご自宅に訪問するようにしています。

    

Q22. 在宅でのリハビリは(訪問リハ)の役割は何ですか?

筋力低下や関節拘縮などの予防にも役立つと思われます。
また、神経難病や脳梗塞にはある程度効果があると思います。

    

Q23. 認知症における緩和ケアとは、どのような内容になりますか?全く想像がつきません。教えてください。

認知症も現在の医学では徐々に悪くなっていくもので治癒が望めません。
痛みなどはありませんが色々な苦しみ、悩みがあると思いますのでそういう意味では緩和ケアと言えます。
緩和ケアをあまり特別なもの難しいものと考えずに、急性の病気で治る病気を除いてすべての場合に緩和ケアの考えが必要と私は思います。

    

Q24. がんとかでなく、高齢者の緩和ケアってあるのですか?

講演でお話ししたように認知症や神経難病などは手術不可能がんと同様に治癒が望めないものですから緩和ケアの適応と思います。
いわゆる高齢者の場合何も病気がなければ老衰ということになりますが、この場合にもつらさや自分が死んでしまうことについての恐れはあるわけでやはり緩和ケアの考えが必要と思います。

    

Q25. ホスピスの費用
   1.一日あたり?円
   2.保険適用以外の費用 
   3.年金額が少ない場合はどう対処すればいいのか?

施設によって、費用や条件が異なります。
具体的には、病院の医療連携室やがん相談支援センター等で確認してください。

    

Q26. 自宅近くで在宅緩和ケアをやっている訪問医を探すにはどうすればよいですか?

講演でもお話ししたように、まずは、かかりつけの病院の医療連携室やがん相談支援センター等で確認されることをお勧めします。または、保健所、役場に問い合わせてみてください。
インターネットには訪問してくれる医療機関のサイトもあるかと思います。

    

Q27. 在宅医として、先生は老人ホーム等の回診はされていますか?されているのであれば事例を教えてください。

現在老人ホームには1人だけしかいませんし、その方も在宅でみてて老人ホームに入った方です。
私自身は老人ホームの経験はほとんどありません。

    

Q28. 施設がご自宅の方の在宅医療については、どのような考え方を持てばよいでしょうか。24H対応して頂ける医師が確立していなくて、当直看護師、夜勤ケアスタッフだけではターミナルが難しいと感じてます。

施設での在宅医療、看取りがこれからは大事になってきます。
私自身は現在施設は一人だけでこの方ももともと個人宅から施設に入られた方です。
ですから施設についての在宅医療は経験が少ないです。
ただ個人的には施設にいく医師も在宅と同じようにきちんと24時間対応すべきと思います。

    

Q29. 末期がんで、余命も告げられています。現在ホスピス見学をしていますが、在宅医療にもずっと興味があります。問題は一人暮らしで在宅医療が可能かどうかです。独居での在宅医療が可能かどうか教えてください。

認知症などがなく本人が判断能力があれば独居でも、ヘルパーや訪問看護などを利用してがんの在宅医療は可能です。
ただ家に一人でいて何をしたいか?を考えるべきかと思います。

    

Q30. 在宅で輸血が難しい理由はなぜですか?

講演の中で述べた例は、1週間に数回の血小板輸血でした。通常の赤血球輸血ではありませんので無理と判断しました。
また一般に輸血は副作用がありますし、輸血自身の適応(なぜするか?)をきちんと判断する必要があると私は考えます。
ですから現時点で私は(通常の赤血球に関しても)在宅での輸血はしていません。
ただ、医師や看護師がたくさんいる大規模な在宅医療機関であればもちろん可能と思います。

    

Q31. 歩ける人も訪問診療の利用は出来ますか?肺がん脳転移があり通うには不安があります。

歩けるのがどこまでを指すかにもよりますが。一人で受診が難しければ十分訪問診療の適応があります。
がんの脳転移があればなおさらと思います。

    

Q32. 早期から緩和ケアをするのか、ターミナルからするのか主治医の判断でよいのでしょうか?全ての医師が早期から緩和ケアの実施をすべきでは…

確かに、最初に診断して治療を始めた病院の医師が早期からの緩和ケアを実施できると良いと思います。

    

Q33. 利用者様の心の中にすんなりと入って行く方法。先生が常日頃心掛けている事を教えて下さい。

在宅医はいままでのかかりつけ医とは違い突然入ってくるものなので初対面での印象が大事です。
まずは素早い対応をする事、病院に紹介するときも私自身が連絡する事、それと月並みですが患者さんの目線に立って話を聞く事などでしょうか。

    

Q34. 緩和ケアは、がん早期から開始できる、とおっしゃっていましたが、具体的にどのように行うのですか?痛みをとめることなどが緩和ケアなら、なぜ全ての患者に適応されていないのですか?

緩和ケアとは、痛みだけを取るのではなくて、つらさや悩みなどに対する治療、そしてそれが例え今は無くてもこれから起こることにあらかじめ備える治療です。
まずきちんと聞く事(カウンセリング)、そして必要であれば適切に薬物治療をすることなどが緩和ケアと思います。
ですからほとんどすべての疾患に緩和ケアの考え方はあてはまります(がんに限らず)。

    

Q35. 緩和ケアについて聞かれ「痛み止めを沢山飲まなきゃいけない、それだけでしょう」と言われた時、どのような説明をされますか?

もちろん痛みを取ることが大事ですが、ただ薬をたくさん飲む事とは違います。適切な量で副作用を押さえながら痛みを取ることが大事でそれが緩和ケアです。
また緩和ケアは痛みの治療だけではありません。現時点でのあるいはこれから起こる辛さや悩みに対しても適切に対処することが緩和ケアです。

    

Q36. 高齢の家族が一年前から膵臓がんで抗がん剤治療をしております。先日、1ヶ月もたないかもみたいな事を言われました。このまま抗がん剤治療をしていってもよいのでしょうか。

個別な事例なので難しいですが、膵臓がんであればそのようなことはあり得ます。
予後が1か月で抗がん剤治療を続けるかどうかはケースバイケースなので何とも言えませんが、本当に亡くなる直前まで抗がん剤治療をすることもあります。
それにより、少しでも良い時間を過ごせる場合もあります。ケースバイケースではありますが…。

    

Q37. 「緩和ケア」の定義や目指すものの中で『延命治療』とはどのような定義・位置付けを持つものなのでしょうか?「緩和ケア」とは、『延命治療』を視野に入れないものと認識して良いでしょうか?特に本人が判断不可の状況に陥った時に事前の意思表示をしていれば、胃瘻を始めとする延命治療を受けずに済むものでしょうか?法による制約等にも思いが至るところでもあります。デリケートな課題ですので、可能な範囲でお話頂ければ幸いです。

緩和ケアは何もしない、何かをしてはいけないというものではないと私は思います。
緩和ケアは痛みやつらさや悩みに対する治療ですから、そういう目的で延命治療をしても何も問題はありません。
一方であらかじめ延命治療をしないという意志があればそれは尊重されるべきものです。
緩和ケア、延命治療、事前の意思表示とはそれぞれ別個に考えるべきと思います。

    

Q38. 肺がんの父と2人暮らしです。病院で現在治療をしていますが、抗がん剤の副作用で「きついきつい」とよく言います。先生からは、「つらい、きついはわかる。ただ病院スタッフにきつく当たらないでほしい。家族で解決してほしい。」と言われました。本人は家族に気をつかい本音を話しません。在宅でサポートされている方々は、患者家族の思い等をどのように受けとめるように心がけていますか。

病院のスタッフにも色々な方がおられるのでしょうが、お互いに大変な状況だと思います。
病院スタッフにきつく当たらないでほしいは困りましたね。
在宅では在宅医、訪問看護師、ケアマネ、ヘルパーなどにいくらでも相談していいですよ。

    

≪訪問看護師への質問と回答≫

Q39. 訪問看護師をしています。何度在宅看取りを行っても後悔することが多く、慣れず2~3日へこんでしまいます。訪問看護師として、自分の気持ちを平常心に保てるよう何かしていることがありますか。

在宅で患者さんを看取って、慣れる事はないと思います。
患者さんは一人一人違うわけですからその方と真剣に向き合えばつらいことですし悲しい事です。
ただ、私の思いではなくまず患者さんや家族の立場に立って最後の時間が有意義であれば素直に良かったと思うことは大切だと思います。
もし後悔があるとしたらそれはなぜなのかをチームで話し合うことも大切だと思います。スタッフのグリーフケアは大切です。

    

Q40. 頼れる身内もなく、一人で死んでいく事は覚悟していますが…せめて、生きてて良かった!と思って死にたいです。どうしたらいいですか?

是非、自分の思いを語る事が出来る人を見つけてほしいと思います。
看護師でも医師でもヘルパーさんでもボランティアさんでも。
誰かと関わる中で自分の「生きてて良かった」が見つかるのではないでしょうか。

    

Q41. 訪問看護を相談する時期を迷う。

すぐに利用しなくてもどんなものか知るために連絡しても良いのではないでしょうか。
関わりをもっておく事は大切だと思います。

    

Q42. 訪問看護は、介護保険と医療保険どちらも両方使える唯一のサービスとのことでしたが、両方併用する際の使い方を具体的に教えて下さい。(利用頻度とサービス内容について)医療保険でも月の内14日のみしか入れないときいてますが、その後、どのように対応しますか?

がんの末期(余命6カ月)の方は医療保険です。
がんの終末期の方は回数に制限(1日3回まで)はありません。普通の医療保険の方は週に3日までです。
又それ以外の方で介護保険の認定を受けている方は、介護保険での訪問です。
介護保険で訪問している方で急性増悪と言って、集中して治療が必要な場合(例えば、肺炎、褥瘡等)は月に1度特別指示書を医師に書いていただき医療保険で14日毎日でも訪問できます。

    

≪患者体験者への質問と回答≫

Q43. 一日に内服される鎮痛剤の回数はどれくらいですか。鎮痛剤の効果がなくなった時のダメージ(身体的、心理的)がありますか。

ロキソニン(非ステロイド系消炎鎮痛薬)は一日三回(一錠、効かなければ二錠まで)それでも痛みが治まらない時はレスキューとしてオピオイド(医療用麻薬)を一回(一錠)服用。
効かなくなった時は怖いが、いろいろな鎮痛剤が出ているのでその時にまた考えるようにしています。

    

Q44. 医療用麻薬を飲んでいると言われていましたが、副作用はないのですか?「ちょっと怖い」という気持ちはありませんか。

ロキソニン(非ステロイド系消炎鎮痛薬)の副作用はなし。オピオイド(医療用麻薬)は軽い吐き気と眠気。
吐き気は吐き気止めを予防服用。眠気は運転などを気を付けて上手に付き合っている。
怖い気持ちはあったが、医師だけでなく薬剤師にも薬のことをいろいろ聞いて納得しているので、今は不安はないです。

    

Q45. 緩和ケアを希望する場合、自分から希望して、ケアをうけることができるものでしょうか?主治医のすすめ?が必要ですか?早くから緩和ケアを利用したい場合など、緩和ケアを受ける手順、手続きがあれば、教えて頂きたいです。

緩和ケアは基本的に治療が始まったと同時に受けることができるので自分から希望すれば可能。
主治医に相談すれば、今何か困っていること(身体的・精神的)に対しての緩和ケアを提示してくれると思います。どの病院でも受けることができるはず。
ただし緩和ケア=緩和ケア病棟もしくは終末期医療という誤解をしている場合もあるので、痛みや苦痛を軽減してほしい、精神的苦痛を軽減してほしいという形で伝える方がよいかもしれません。

    

Q46. 在宅ケアは一人暮らしでもできますか?

いろいろな社会資源やボランティアを使って実際に一人暮らしで看取りまで在宅で過ごされた方もいらっしゃいます。

    

Q47. 自宅で通院という形で利用されていることが“緩和ケア”なら、他の患者さんが入院されているのはなぜですか?先ほどのお話をきくと、緩和ケアにメリット、入院しての闘病にデメリットしか感じられませんでした。緩和ケアを早期から受けることでのデメリットはあるのですか?

どちらがよりいいと言うより、自分はどこで受けたいか、
受けることが可能かを考えたらよいと思います。
在宅には在宅の、入院には入院のメリット・デメリットがあるので。
私の場合は家族関係や仕事などで在宅での療養を希望したので通院ですが、
痛みがひどかったり症状のコントロールが難しくなったら入院を希望する予定。
緩和ケアは早期に受けることで無駄な痛みや苦痛を受けることがなく、
体力の消耗や精神的なダメージは少なくなると思いますので、
今のところデメリットは感じたことはないです。

    

Q48. いろいろな相談は誰になさっていますか?(先生方はお忙しいと思いますが)

治療のことは医師、看護師、薬剤師、日常生活や治療に対する不安や副作用などについては主に患者仲間の方(患者会やがんサロン)で聞いてもらうことが多いです。

    

≪在宅医・患者体験者への質問と回答≫

Q49. 高齢の家族が末期のがんです。在宅でみていますが、ずっと苦しそうで、本人が好きだったことにも気力がわかない様子です。
意識はハッキリしており、本人はただただ辛そうです。
本人も家族も「自宅でおだやかに最期を」と思っていますが、この状況で、どうしたら少しでも本人にとってよい日々をすごせるでしょうか?
(なんとなくですが「よい最期」はむかえられる気がします。それまでの日々の過ごし方・生き方に悩み中です。)

(在宅医より)
在宅医の先生とは話し合いをしていますか?苦しいのは何が原因でしょうか?痛みでしょうか?
他に辛さや悩みがあるのでしょうか?緩和ケアをみんなで考える必要があるかと思います。
(患者体験者より)
今まで好きだった趣味や楽しみに興味が湧かなくなることは病状によってよくあります。私自身も今まで趣味にしていたことの殆どは全くやる気が起きません。
でもそれでも普通に家族と一緒に過ごせたり、日常生活の小さなことが大事に思えたりするので特別なことは必要ないと思います。ご家族がそばにいて、見守って差し上げるのが患者としては一番だと思います。
具体的な痛みや苦しさがある場合は、主治医と相談して、なるべく症状を軽減できる方法を考えて差し上げるとよいかと思います。