消化管外科このページを印刷する - 消化管外科

取り扱う疾患

  • 食道がん
  • 胃がん
  • 大腸がん
  • 消化管GIST(食道・胃・小腸・大腸)
  • 消化管NET(食道・胃・小腸・大腸)

診療方針・特色

地域の皆さまに最高水準の外科医療を提供することを目指し、以下の取り組みを行っています。

低侵襲手術の推進

胸腔鏡や腹腔鏡を用いた内視鏡手術を早期から導入し、現在ではほとんどの手術を患者さんの負担が少ない方法で実施しています。ロボット支援下(ダビンチ)による手術も積極的に行い、従来の開胸・開腹手術と同等の手術時間で、術後の回復をより迅速にしています。

  • 腹腔用手術鉗子の一例
  • ダビンチサージカルシステム ペイシェントカートと鉗子先端の一例

切除困難症例への対応

他施設で手術が困難とされた進行がんに対しても、薬物療法や放射線治療を組み合わせた集学的治療を提供し、治癒切除を目指しています。他臓器への浸潤がある場合や拡大手術が必要な症例では、他の診療科と連携し、合併切除や再建手術を実施しています。

機能温存への取り組み

頸部食道がんに対する喉頭温存術式、胃がん手術における胃温存や逆流防止術式、下部直腸がんに対する肛門温存手術など、最新の治療法を積極的に採用しています。患者さんの生活の質(QOL)を重視し、安全性とがん治療の効果のバランスを考えた手術を行っています。

高齢患者さんへの配慮

食道がんは70代、胃がんは80代での発症が多い疾患です。当院では、老年腫瘍科と協力し、75歳以上の患者さんにも適切な治療を提供できるよう、事前評価を徹底しています。高齢であることを理由に治療を制限せず、患者さん一人ひとりに最適な治療法を選択しています。

診療内容

食道がん

食道切除胃再建
進行度によって治療法が異なります(詳細は疾患食道がんの項目を参照)。食道がんは胃がんや大腸がんと比べリンパに転移しやすく5年後の生存割合も低いため、手術を含め標準的な治療をうけることが長生きへの近道になります。
手術では、進行度や患者さんの全身状態を考慮し、ロボット支援下手術、胸腔鏡手術、縦隔鏡手術など低侵襲手術を積極的に導入しています。当院では2020年から全例胸腔鏡手術を実施し、2023年からロボット支援下胸腔鏡手術(ダビンチ)を開始しました。これまでに100例以上のロボット支援下手術を経験した術者が、安全かつ確実な手術を提供します。
隣接臓器への浸潤が疑われる症例や放射線治療後の症例にも、ロボット支援下または胸腔鏡手術を行います。さらに、進行がんや再発がんには化学療法や放射線療法を併用し、可能であれば手術(コンバージョン手術)を行います。
手術が困難または希望されない場合には化学療法や放射線治療を行っています。

胃がん

胃がんの80%以上の症例に対して、腹腔鏡下手術やロボット支援下手術などの低侵襲手術を行っています。胃を切除した場合、食事量や体重の減少、ダンピング症状(めまい、動悸、脱力感など)が生じるため、患者さんの生活の質(QOL)を考慮した胃機能温存手術を推進しています。特に胃の上部に発生した胃がんでは、従来の胃全摘術に代わり、胃の入り口側半分を切除する「噴門側胃切除術」を行い、術後の体重減少を軽減することが期待されます。また、逆流性食道炎の予防のため、逆流の少ない再建法を採用しています。術後には栄養士による指導と主治医によるサポートを行い、退院後も継続的に支援します。
また、胃・十二指腸の腫瘍に対して内視鏡治療と腹腔鏡下手術(腹腔鏡・内視鏡合同手術)を組み合わせ、可能な限り臓器を温存する手術も行っています。
遠隔転移を伴うStage IVの症例では化学療法を中心に治療を進め、状態が改善すれば手術が可能になる場合もあります。
腹腔内化学療法
2014年8月より東京大学と多施設共同の臨床試験として、腹膜播種の頻度の高い4型胃がんに対して患者さんの腹腔内(おなかの中)および全身に化学療法剤を投与して、腹膜播種を予防し手術を行う治療も行っています。臨床試験として行っているので治療の適応や内容についてはお問い合わせください。

大腸がん

患者さん一人ひとりの体型、大腸がんの部位、大きさや転移の広がり、手術歴などを総合的に考慮し、開腹手術、低侵襲手術(腹腔鏡下手術またはロボット支援下手術)の適応を判断します。がん病巣とリンパ節を確実に切除しつつ、肛門機能の温存を目指した手術を提供します。
肛門に近い直腸がんと肛門から離れた結腸がんでは治療後の排便機能や肛門機能に与える影響が異なるため、治療効果と術後の生活の質を両立させる治療方針を患者さんと相談しながら決定します。

高度進行がんに対する拡大手術

巨大な大腸がんや周囲臓器への浸潤を伴う高度進行がんの患者さんに対して泌尿器科・婦人科・整形外科・形成外科などと共同した手術チームを結成して拡大手術を行います。

直腸がんに対する多様なアプローチ

術前に抗がん剤治療・放射線治療を行い(図3)、術式に関してはロボット支援下手術や経肛門的アプローチ(TaTME)を併用することで、根治性と機能温存の高い治療を行っています(図4)。また肛門に近接する良性腫瘍や早期直腸がんに対して経肛門的低侵襲手術(TAMIS)によって肛門温存と完全切除の両立を図ることが可能なことがあります。精密な術前評価の上で治療適応を判断いたしますのでご相談ください。

  • 図3 術前科学放射線療法の治療効果
  • 図4 TaTME併用直腸切除術

診療実績

手術例数の推移

食道がん

  2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
食道 34 56 36 45 51 46 54 75 68 55 67
(完全鏡視下) 25 22 21 22 31 29 44 51 50 46 54

胃がん

  2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
110 111 105 128 114 121 79 101 102 84 84
(完全鏡視下) 49 57 59 73 80 109 71 86 74 65 69

大腸がん

  2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
大腸 175 207 204 237 283 250 241 244 137 149 161
(完全鏡視下) 77 91 123 152 150 135 116 145 119 131 133

切除症例グラフ


食道がん手術症例数

胃がん切除手術症例数

大腸がん切除手術症例数