膵臓がんこのページを印刷する - 膵臓がん

疾患名

膵臓がん

疾患の説明


(図1)膵臓の解剖
膵臓は胃の後ろ側(背中側)に位置する長さ15~20cmほどの横長の臓器で、体の右側から膵頭部、膵体部、膵尾部に分かれます(図1)。主な機能は、消化液である膵液を腸に分泌する外分泌機能と、血糖を調整するホルモンであるインスリンを血液中に分泌する内分泌機能です。

膵臓がんの種類

通常、膵臓がんと言われるものは患者さんが最も多い浸潤性膵管がん(腺がん)です。この他に膵腺房細胞がんや膵神経内分泌腫瘍(NET)などの比較的稀な腫瘍もあります。
また嚢胞性膵腫瘍と言われる膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)や膵粘液性嚢胞腫瘍(MCN)などは、悪性度や治療法が異なります。

症状

膵臓は特有の症状が出にくく、腹痛、背部痛、食欲不振、体重減少で発見されることがあります。膵頭部がんでは黄疸が見られる場合もあり、糖尿病の発症や血糖値の急な悪化が膵臓がんの初期症状となることもあります。

原因(発生要因・危険因子)

ほとんどの患者さんでは明確な原因がわからないことが多いですが、糖尿病慢性膵炎がある人、若い時の肥満者、喫煙者、血縁者に膵癌がいる人(家族歴)、膵嚢胞性腫瘍がある人は膵がんにややなりやすいと言われています。

検査

膵臓がんが疑われる場合、血液検査で膵酵素や腫瘍マーカー(CEAやCA19-9)を測定し、造影CTやMRI、EUSなどで膵臓に腫瘍があるか確認します。CT検査はX線を、MRIは磁気を利用して撮影し、がんの広がりや転移の有無を確認します。膵臓に腫瘍が認められた場合、超音波内視鏡(EUS)や内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)で生検や細胞診を行い、採取したがん組織を病理医が顕微鏡で診断して確定診断を行います。また、がんの転移や広がりを調べるため、がん細胞が活発に取り込む放射性物質を使って画像を作成するPET-CT検査を実施することもあります。これらの検査結果に基づき、病期分類(ステージ)が確定し、それをもとに治療方針を決定します。

膵癌取扱い規約第7版に基づく病期分類(ステージ)

病期分類はTNM因子で決まり、T因子はがんの大きさと広がり、N因子は領域リンパ節転移、M因子は遠隔転移を示します。

  T N M
Stage 0 Tis N0 M0
StageIA T1
StageIB T2
StageIIA T3
StageIIB T1-3 N1
StageIII T4 N0-1
StageIV T1-4 M1
  • Tis:上皮内癌1
  • T1:膵内限局、2cm以下
  • T2:膵内限局、2cm超
  • T3:膵外進展あるも、腹腔動脈もしくは上腸間膜動脈に及ばない
  • T4:腫瘍浸潤が腹腔動脈もしくは上腸間膜動脈に及ぶ
  • N0/1:領域リンパ節転移なし/あり
  • M0/1:遠隔転移なし/あり

治療

膵臓がんの標準治療は主に手術(外科治療)化学療法・化学放射線療法の2つです。治療方法は病期分類(ステージ)切除可能性分類により主に決定されます。さらに患者さんの体の状態、年齢、希望を考慮して患者さん一人一人に適切な治療方法を選択します。

切除可能性分類

切除可能膵がん
手術によってがんの切除が可能なもの
切除可能境界膵がん
標準手術のみでは組織学的(顕微鏡的)にがんが遺残してしまう可能性が高いもの
局所進行膵がん
切除不能膵がんのうち、主要な血管へのがん細胞浸潤を伴うために切除しても取り切れないもの
遠隔転移を有する膵がん
肺、肝臓、骨への転移などがある場合や大動脈周囲のリンパ節への転移があるもの

病期分類および切除可能性分類に基づく治療法選択の概要

上皮内がん(Stage 0)
外科的切除
切除可能膵がん(StageIとIIの一部)
術前化学療法の後に外科的切除を行い、術後の状態が落ち着いたところで術後補助化学療法を行います。
切除可能境界膵がん(StageIとIIIの一部)
化学療法または化学放射線療法を一定期間行って再評価し、切除可能と判断された場合は外科的切除を行い、術後に化学療法を行います。再評価で切除不能と判断された場合は、通常、化学療法または化学放射線療法を継続します。
局所進行膵がん(StageIIIの一部)
化学療法または化学放射線療法
遠隔転移を有する膵がん(StageIV)
化学療法

外科的切除の概要

がんの位置や広がりよって膵頭十二指腸切除術(図2)や膵体尾部切術除(図3)を主に行います。

(図2)膵頭部がんに対する膵頭十二指腸切除術

(図3)膵体尾部がんに対する膵体尾部切除術

当院で担当している診療科

ガイドラインの紹介

  • 膵癌診療ガイドライン2022年版(日本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン作成委員会編/金原出版)
  • 膵癌取扱い規約第7版(日本膵臓学会編/金原出版)