消化器・肝胆膵内科
レジデントフェロー募集概要
当院は消化器病学会認定施設、肝臓学会認定施設、内科学会教育関連施設、消化器内視鏡学会認定指導施設です。
研修期間は原則1~3年で、内科専門医取得後の日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医が取得できることを目標にしています。ルーチンの内視鏡検査はありませんが、消化器内視鏡学会認定指導施設であり、内視鏡専門医取得も可能です。また新内科専門医制度においても複数の病院の関連施設になっていますので、それらの病院と連携して新内科専門医の取得も可能です。それ以外でも当院での診療経験を望まれる医師の半年、1年または2年の短期の研修も歓迎します。
診療・研修内容
- 全ての肝胆膵領域患者の管理ができること
- 必要な検査、治療を初めとする手技が安全に確実に行えること
- エビデンスをもとにした標準治療ができること、さらに新規の開発治療を取り入れること
肝臓疾患に関しては初期の慢性肝炎から肝硬変、早期癌へのラジオ波などの局所治療、中期癌への血管塞栓術等があります。進行癌に対する動注治療、分子標的治療、放射線治療には特に定評があり年間100例を超える進行癌に治療を行っています。合併する食道静脈瘤に対するEIS治療なども積極的に行っており、レジデント、フェローの皆さんにはこれらの治療をスタッフの指導の元で積極的に自ら行っていただきます。
肝内胆管癌、胆嚢癌などのいわゆる胆道がんはhigh-volume centerとして周辺病院からの紹介も多く、年間平均で20例超の新規患者さんが来られます。こうした患者さんについてのPTCD、内視鏡的処置や抗癌剤治療も行っていただきます。また胆道がんはプレシジョンメディスンが行われ始めた分野です。専門家のアドバイスを受けつつ新しい治療を学んでいくことができます。
膵癌は当院が特に得意とする分野です。
膵癌の新規患者さんは昨年80名を超え、ERCP件数が年間約200例、EUS件数も年間約200例と非常に豊富な実績があります。当科では、発見困難と言われる早期膵癌の発見実績も有数のものがあります。こういった手技、検査、さらに種々の抗癌剤治療と言ったものを学んで実際に行っていただきます。
また膵臓は血糖コントロール、消化吸収をつかさどる臓器であるため、膵内外分泌能のチェックなど膵機能も考慮し、癌による全身への影響も含め治療を行う必要があります。こういった膵臓に関する基礎的な知識も学んでいただきます。
メッセージ
肝胆膵がんはまだまだ難治がんの代表です。必要な手技、処置も多数あり覚えるべきことは山ほどあります。その分やりがいがあり、若いうちに身につけておけばきっと将来にわたって大きな武器になることでしょう。
実践に基づいた、肝胆膵癌治療を学んでみたい方はぜひ我々と一緒に働いてみませんか?
先輩フェローからのメッセージ(1)
私は医師8年目にフェローとして6ヶ月間修練させていただきました。他県のがんセンターで消化器がん一般の治療を2年間で幅広く研修を積んできましたが、出身地である九州で肝胆膵に特化してより専門的な研修をしたいというのが志望動機でした。全国的にも豊富な症例数を有し臨床試験や治験なども数多く、短い研修期間にも関わらず臨床試験の分担医師を担当させていただいて貴重な経験を得ました。近年、肝細胞癌、胆道癌には新しい薬物治療が保険適応になり、長期生存例がある一方で依然として予後不良な転帰をたどる厳しい症例が数多くあるのが実状です。こうした患者さんや家族に接していく中で多職種にわたりサポートしていくこと、寄り添う姿勢はとても重要であると実感しました。全国規模の学会で発表する機会を下さり、各種専門医取得のサポートがとても充実した中で肝臓専門医を取得することができました。がん治療の最前線でエキスパートから丁寧なサポートを受けながら、ステップアップを目指すことができる最良の環境であったと心より感謝申し上げます。興味のある方は見学および研修をご検討いただければ幸いです。
先輩フェローからのメッセージ(2)
私は内科専攻医プログラムにおいて、九州がんセンター消化器・肝胆膵内科での研修を半年間行いました。消化器領域において、がん診療は避けて通れないことを実感しており、がん診療の基礎から肝胆膵領域がんの専門的な知識、経験を習得するため、研修を希望しました。
当科は肝・胆道系領域と膵臓の専門スタッフが所属しています。日々の診療やカンファレンスで、問題点を共有し、協議しています。知識、経験の豊富な上級医に指導を受けて、多く学びながら診療に携わることができます。コメディカルや他科とのコミュニケーションは取りやすく、チーム医療を実践しています。
症例は、肝胆膵領域の前がん疾患から進行がんまで様々であり、診断、治療、化学療法の管理、緩和ケアまで、様々な診療段階に携わります。また、治験や臨床試験といった最新の診療にも携わり、治療選択肢を広げることができます。
手技に関しては、腹部エコー、ERCP、EUS、肝腫瘍生検、ラジオ波、PTGBD、PTCD等を行っています。ハイリスクな症例の処置もありますが、上級医のサポートを受けて、安全に技術の習得と向上が実感できます。臨床のみならず、定期的な論文抄読会があり、また学会発表の機会に恵まれ、学術的な視点を研鑽できたことも有意義でした。
肝胆膵領域の悪性腫瘍は進行が早いうえ予後が悪く、根治に至らない例が多いのが現状です。疾患を抱える患者さんの人生が充実するよう、消化器内科医として関わり、向き合うべく精進が必要と考えています。当院での研修は、がん診療の基礎から肝胆膵領域がんの専門的な知識、経験を習得するための環境があると実感しています。